アヤコマチとは、果肉がにんじんやかぼちゃのように鮮やかなオレンジ色をしたさつまいもの品種です。見栄えの良さで注目を集めがちですが、上品な甘さとねっとりとした食感が魅力です。冷めてもおいしく、とくにスイートポテトやポタージュスープ、コロッケに調理して食べるのにおすすめです。今回はアヤコマチとはどんな品種なのか、特徴や苗、栽培方法、おもな産地、糖度、味の特徴、向いている食べ方を解説します。アヤコマチのことをくわしく理解し、ベストな食べ方で味わってみてくださいね。
アヤコマチはどんな品種?
アヤコマチとは平成5年に「九州122号(ハマコマチ)」を父、「サニーレッド」を母として交配し、選抜された品種です。
アヤコマチの特徴
アヤコマチは塊根(根が養分を蓄え肥大化し「いも」になること)中にカロテンを含むため、鮮やかなオレンジ色の果肉をしています。アヤコマチの形状は紡錘形(ぼうすいけい)で中心部が太く、両端に向かって細くなっているのが特徴です。曲がりやくびれは少ないので、カット加工に向いています。加えて、カット面が変色しにくいのも特徴です。
苗
アヤコマチの苗は市販のつるを購入するか、メリクロン苗(ウイルスフリー苗)と呼ばれるポット苗を買って、大きめの鉢に植え替えましょう。本葉が7~8枚のときに中心の葉を摘み取ります。節からつるを出した状態で、8節以上伸びたら切り取って植え付ければOKです。切り口に近い2~3節から根までの部分が最も塊根(いも)がつきやすいといわれています。2~3節は必ず土中に埋め込みましょう。節を埋め込まないと吸収根ばかりになり、いもができにくいからです。各節の葉は葉身を外に出すようにして植えてください。深さ5~10cmの溝を切り、苗を水平にして植え付ける水平植えが一般的です。
栽培方法
植え付け後は根が伸びますが、つるの生育は遅いので1ヶ月は除草を行いましょう。生育が進むにつれてつるが這い、地面を覆うので雑草はあまり発生しません。基本的に追肥は行わず、7~8月に葉が黄色くなってきたときに追肥すればOKです。夏から秋頃につるを上に持ち上げてひっくり返します。これがつるの節から出た根を切る作業のつる返しです。現在の品種は節の根が、いもになりにくいため、とくにつる返しを行う必要はありません。植付の時期や地域にもよりますが、アヤコマチの収穫時期は10月上旬~11月中旬にかけてです。2~3週間ほど熟成期間をおくと、甘くておいしいアヤコマチになりますので、食べ頃は10月下旬~1月頃といえるでしょう。
産地
全国の甘藷作地域に適する品種とされていますが、現時点でアヤコマチのおもな産地は、千葉県や鹿児島県です。
糖度
アヤコマチの糖度を調べてみたのですが、数字としてのデータはみつかりませんでした。しかしながら、さつまいもらしい甘さを味わうことのできる品種であり、その甘さは冷めても美味しく感じられるのがアヤコマチの特徴といわれています。
アヤコマチの味の特徴
アヤコマチを実際に食べた人の感想をチェックすると「上品な甘さでおいしい」「かぼちゃのようにほどよいねっとりとした甘さがある」「後味が意外とサッパリとしている」という声がみられました。
アヤコマチのおすすめの食べ方
先述したようにアヤコマチの特徴のひとつが、鮮やかなオレンジ色です。ではオレンジ色を最大限に活かす食べ方とは?
焼き芋
アヤコマチの鮮やかなオレンジ色を最大限に際立たせる食べ方のひとつが、焼き芋です。焼き芋を半分に割ったとき、目に飛び込んでくる美しさは圧巻としかいいようがありません。他の品種では見ることができないインパクト大の焼き芋です。上品な甘さはもちろん、くどさがないので飽きずに完食できます。1度食べたらクセになること間違いありません。
スイーツ
アヤコマチはそのまま食べて自然の甘みを味わうほか、少しアレンジしてスイーツとして食べるのもおすすめです。たとえば蒸してからペースト状に潰して砂糖やバター、卵黄を混ぜてスイートポテトにしたり、モンブランケーキの上にクリームとして絞り出しだしたりするのにピッタリ。濃いオレンジの色が印象的で、他にはないスイーツの完成です。
主菜や副菜
アヤコマチは、彩りが地味になりがちな主菜や副菜に加えるのも、おすすめの食べ方のひとつです。たとえば鶏肉やきのこ、ピーマンと一緒に煮物や炒め物にしたり、緑色が多くなりがちな野菜サラダに加えたり、潰して炒めたひき肉や玉ねぎを加えてコロッケとして揚げて食べるのにピッタリです。
ポタージュスープ
ポタージュスープと聞くとミキサーが必要と思いがちですが、使用しなくてもつくることができます。加熱してアヤコマチがやわらかくなったらマッシャーや木ベラで潰せばOK。あとは牛乳や水、コンソメを加えて味を調整し、好みの食材とあわせてください。
まとめ
さつまいもの品種のひとつであるアヤコマチの特徴や、おすすめの食べ方について紹介しました。これまでさつまいもの品種を気にせず、食べていた人もいるでしょう。もしアヤコマチを見かける機会があれば手に取ってみてはいかがでしょうか。一般的なさつまいもとは違った魅力のあるアヤコマチを、紹介した食べ方でおいしく味わってみてください。