サツマイモ基腐病のさつまいもを食べてしまったらどうなるのか?市場に出回る可能性は少ないが、消費者も十分に注意が必要です。仮に食べてしまった時の対応を解説します。

「サツマイモ基腐病」は、さつまいもに壊滅的な被害を与える病気です。九州では大きな被害が出て、深刻な問題となっています。さまざまな対策が行われていることから、「サツマイモ基腐病」に感染したさつまいもが、市場に出回る可能性は少ないですが、消費者も十分に注意が必要です。本記事では「サツマイモ基腐病」の概要や、誤って食べてしまった時の対応、合わせてさつまいもの保存方法と見分け方について詳しく解説します。

サツマイモ基腐病とは

出典:鹿児島市さつまいもの病害(サツマイモ基腐病)対策についてより

「サツマイモ基腐病」は、Diaporthe destruens(ディアポルテ・デストルエンス)という糸状菌(カビの一種)に感染することで発生する病気です。主に甘藷(さつまいも)に感染して、地際部(地面に接している部分)の茎が黒く変色し、病気が進むと葉や茎が枯れ、その後は芋の部分(塊根)が腐敗します。

出典:鹿児島市さつまいもの病害(サツマイモ基腐病)対策についてより

日本国内では、2018(平成30)年度に宮崎県と鹿児島県、沖縄県のさつまいも産地で初めて確認されて以降、全国各地で被害が続いており、家庭菜園でも発生が確認されています。「サツマイモ基腐病」の対策としては、「持ち込まない」「増やさない」「残さない」が3つの柱で、例えば、ウイルスフリーの苗や健全な種いもを使用する、苗の消毒、汚染された土壌の消毒、薬剤散布による体系防除が必要です。

昨年、茨城県では、全国で初めて改正植物防疫法に基づく「順守事項」を、「サツマイモ基腐病」で定めました。

順守事項は、

  1. 県が実施する調査に協力する
  2. 発生を確認した場合には発病した株を抜き取って圃場の外に持ち出す
  3. 発生した圃場では2年間さつまいもを作付けしない
  4. 発生した圃場から種芋を採取しない

などです。

家庭菜園での栽培も対象に含まれていて、悪質な場合には最大30万円の過料が科せられるので注意が必要です。

サツマイモ基腐病になったさつまいもの見分け方

「サツマイモ基腐病」に感染したさつまいもは、地上部が生育不良となって葉が黄色くなり、茎の根元は褐変腐敗します。いも(塊根)は、付け根(なり首)から「サツマイモ基腐病」の糸状菌が侵入して腐敗します。収穫した時に腐敗していなくても、貯蔵中に腐敗が進行して周囲のさつまいもにも伝染するので、注意が必要です。腐敗したさつまいもは、独特のニオイがしますが、他の病害でも同様のニオイがすることがあるので、ニオイや見た目だけでサツマイモ基腐病を判断するのは難しいでしょう。

サツマイモ基腐病のさつまいもを食べても大丈夫?

「サツマイモ基腐病」に感染したさつまいもは、黒い糸状の菌に侵されてカビ臭い独特のニオイがするため、食べることはできません。誤って食べてしまった場合には、腹痛や下痢、嘔吐、吐き気、発熱、めまいなど、食中毒の症状が出る場合があります。症状が出た時には、早めに病院を受診しましょう。

さつまいもの保存方法と見分け方

「サツマイモ基腐病」に感染していなくても、保存方法が適切でなければさつまいもは腐る可能性があります。ここからは、さつまいもの適切な保存方法と、腐ったさつまいもの見分け方についてご紹介します。

さつまいもの保存方法

さつまいもが腐る原因には、温度や湿度が深く関係します。スーパーで販売されているさつまいもは、ビニール袋に入ってるケースが多くあります。購入後に袋から出さずに放置すると、袋の中に湿気が溜まってさつまいもが腐ってしまうので注意しましょう。また、さつまいもは寒さに弱い野菜です。5℃以下になると低温障害を起こしてしまいます。夏以外は、常温保存がおすすめです。1本ずつ新聞紙で包んで、紙袋や段ボールなどに入れ、風通しがよく、直射日光に当たらない場所で保存しましょう。室温が20℃以上になる夏は、新聞紙で包んで冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。

腐ったさつまいもの見分け方

さつまいもが腐ると、次のような変化が見られます。

・変色する

「サツマイモ基腐病」に感染していなくとも、表面が黒くなっていたり、カビが生えている場合には、さつまいもが腐っている状態です。切ったときの断面に問題がなくても、カビの菌などが中まで入り込んでしまっている可能性があります。食べずに破棄しましょう。さつまいもに含まれるポリフェノールの一種「クロロゲン酸」によって緑色や紫色になる場合や、低温障害で黒ずんでしまうこともありますが、明らかにカビのニオイや腐敗臭がしている場合には食べないようにしましょう。

・皮がシワシワになる

さつまいもの皮がシワシワになっているのは、水分が抜けてしまった状態です。皮が乾燥しているということは、中も水分が抜けてスカスカになってしまっている可能性があるため、食べないほうが良いでしょう。

・やわらかくなる

通常、生のさつまいもは、皮にハリがあって硬いものです。触ってみて柔らかい部分があった場合には腐っている可能性があります。

まとめ

今回は「サツマイモ基腐病」について紹介しました。さつまいもが腐る原因は「サツマイモ基腐病」の感染だけではありません。さつまいもが腐らないように保存するには温度や湿度が重要です。適切な状態で保存して、おいしくさつまいもを食べてください。