仁田美鈴
五島列島で生まれ育って40年。地元の雄大な自然や人の温かさはもちろん、島暮らしならではの「不便さ」さえも愛する生粋の五島人です。幼少期から、小学校のアルバムに食べている写真が残るほどの無類のさつまいも好き。「焼き芋にキムチをトッピング」という通な食べ方をこよなく愛しています。地元民だからこそ知るディープな情報や、観光・出張で訪れる方に本当に役立つ現地のリアルな魅力を、心を込めてお届けします。
世界遺産の教会群や透き通る海に惹かれて五島列島への旅を思い立ったものの、いざ計画を立て始めると、そのアクセスの複雑さに少し頭を抱えてしまっているかもしれません。本土からの出発地は主に福岡、長崎、佐世保の3か所があり、手段も空の便から、海を駆けるジェットフォイル、そしてゆったりとしたフェリーまで多岐にわたります。
旅のスタイルとして、時間を優先して飛行機を選ぶか、あるいは費用を抑えて船旅の情緒を味わうかは、非常に悩ましい選択です。この記事では、初めての方でも迷わないよう各ルートの所要時間や特徴を網羅的に比較し、現地でのレンタカーやバスといった足回りまで含めて、あなたに最適な五島への行き方を紐解いていきます。
五島列島への行き方は飛行機と船の2種類
長崎県の西に浮かぶ美しい島々、五島列島。この場所へ旅に出ようと思い立ったとき、まず直面するのが「どうやって海を渡るか」という選択です。五島列島は本土と陸続きではないため、鉄道や車だけで直接乗り入れることはできません。五島列島へのアクセス手段は、大きく分けて「飛行機」と「船」の2種類になります。
出発地が福岡なのか長崎なのか、あるいは佐世保なのかによっても選択肢は変わってきますが、まずは空の旅と海の旅、それぞれの特徴を理解しておくことが大切です。旅の目的や予算、そして「移動そのものをどう楽しみたいか」に合わせて、最適なルートを選んでいきましょう。
時間を優先するなら飛行機がおすすめ

限られた休日を最大限に活用したい、あるいは現地での滞在時間を少しでも長く確保したいという方には、迷わず飛行機をおすすめします。五島列島の空の玄関口である「福江空港(五島つばき空港)」へは、福岡空港と長崎空港から直行便が飛んでいます。
飛行機の最大のメリットは、何と言ってもその圧倒的な速さです。例えば、長崎空港からであれば約30分、福岡空港からでも約40分という短時間で到着してしまいます。船で移動する場合、数時間かかる道のりをあっという間に飛び越えてしまうわけですから、移動時間を大幅に短縮して観光やアクティビティに時間を充てることができるのは非常に大きな魅力です。
もちろん、船に比べれば運賃は高くなる傾向にありますが、早期割引などを上手く活用すれば費用を抑えることも可能です。揺れも少なく、あっという間に島へ到着できる快適さは、体力に自信のない方や、小さなお子様連れの旅にとっても心強い味方となるでしょう。
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費用を抑えて旅情を楽しむなら船がおすすめ

一方で、旅の費用をなるべく抑えたい、あるいは海を渡って島へ向かうワクワク感をじっくり味わいたいという方には、船での移動がぴったりです。船の旅には、高速船(ジェットフォイル)とフェリーの2つの選択肢があります。
ジェットフォイルは海面を浮上して走行するため揺れが少なく、フェリーよりも速く移動できるのが特徴です。しかし、さらに旅情を誘うのはフェリーでしょう。デッキに出て潮風を感じたり、広い船内で手足を伸ばしてくつろいだりしながら、ゆっくりと島が近づいてくる時間を楽しむことができます。特に、博多港を深夜に出発して翌朝に五島へ到着する「フェリー太古」のような夜行フェリーを利用すれば、寝ている間に移動できるため宿泊費の節約にもなり一石二鳥です。
船での移動は、天候や波の状況によって揺れたり、場合によっては欠航になったりするリスクもゼロではありません。それでも、美しい五島の海を間近に感じながらのんびりと進む船旅は、日常の喧騒を忘れさせてくれる特別な体験になるはずです。
福岡から五島列島へのアクセス方法
九州の玄関口である福岡からは、五島列島への旅の選択肢が非常に充実しています。ビジネスや短期旅行で時間を有効に使いたい方から、船旅そのものを楽しみたい方まで、目的に合わせたルート選びができるのが福岡発の魅力です。ここでは、空の便と海の便、それぞれの特徴とメリットについて詳しく解説していきます。
飛行機で福岡空港から福江空港へ直行

とにかく移動時間を短縮して、現地での滞在時間を長く確保したいという方には、飛行機での移動が最適です。福岡空港からは、オリエンタルエアブリッジ(ORC)と全日本空輸(ANA)のコードシェア便が運航しており、福岡空港から五島つばき空港(福江空港)まで最短約40分という圧倒的な速さで到着します。
離陸して博多の街並みを見下ろしたかと思えば、あっという間に五島の美しい島影が眼下に広がります。1日3〜4往復程度運航されているため、スケジュールの調整もしやすく、午前中の便を利用すれば、お昼前には五島列島最大の島である福江島で観光をスタートできるでしょう。ただし、直行便が発着するのは福江島のみである点には注意が必要です。中通島などの上五島方面へ向かう場合は、長崎経由やフェリーの利用を検討するか、福江島からさらに船で移動することになります。
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フェリー太古で博多港から五島各港へ

旅情をたっぷりと味わいながら、リーズナブルに移動したい方におすすめなのが、野母商船が運航する「フェリー太古」です。博多ふ頭(ベイサイドプレイス博多)を夜の23時台に出発する夜行フェリーで、寝ている間に移動し、翌朝には五島列島に到着しています。このフェリーの最大の魅力は、宇久島、小値賀島、中通島(青方)、奈留島、福江島へと順に寄港していくことです。
飛行機ではアクセスしにくい上五島や小値賀などの島々へ、乗り換えなしでダイレクトに向かうことができるのは、フェリー太古ならではの大きなメリットと言えるでしょう。船内にはリラックスルームやシャワールームも完備されており、スイートから自由席まで予算に合わせた客室選びが可能です。早朝に到着するため、到着初日の朝からフルに活動できるのも、限られた休日を有効に使いたい旅行者にとっては嬉しいポイントではないでしょうか。夜の博多湾を離れ、目覚めればそこはもう島国。そんなドラマチックな移動も、旅の素敵な思い出になるはずです。
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長崎から五島列島へのアクセス方法
長崎県本土から五島列島へ向かうルートは、実は最も選択肢が豊富です。空の便はもちろん、海路も高速船とフェリーの2種類があり、旅のスケジュールや予算に合わせて自由に組み合わせることができます。それぞれの移動手段には明確な特徴がありますので、ご自身の旅のスタイルに最適なものを選んでみてください。
飛行機で長崎空港から福江空港へ

長崎空港から五島つばき空港(福江空港)へは、オリエンタルエアブリッジ(ORC)と全日本空輸(ANA)のコードシェア便が運航しています。このルートの最大の魅力は、なんといってもその速さです。フライト時間はわずか30分程度と非常に短いため、あっという間に五島の地を踏むことができます。
プロペラ機での運航が主となりますが、眼下に広がる多島美を眺めていると、移動そのものが一つの観光のように感じられるでしょう。東京や大阪などから長崎空港へ到着し、そのまま乗り継いで五島へ向かう場合には、空港の外へ出る必要がないため最もスムーズな移動手段といえます。
ジェットフォイルで長崎港から福江港や奈良尾港へ

長崎港ターミナルからは、九州商船が運航するジェットフォイル「ぺがさす」が出ています。海の上を飛ぶように走るこの船は、揺れが少なく快適な乗り心地が特徴です。長崎港から福江港までの所要時間は約1時間25分で、飛行機に次ぐ速さを誇ります。また、便数も比較的多く設定されているため、スケジュールの調整がしやすいのも嬉しいポイントです。
ジェットフォイルは福江港だけでなく、新上五島町の奈良尾港を経由する便もあります。そのため、上五島方面へ向かう方にとっても非常に便利な選択肢となります。ただし、全席指定制となっているため、繁忙期には事前の予約が欠かせません。人気のある時間帯はすぐに席が埋まってしまうこともあるので、早めの手配を心がけましょう。またシーズンによって、減便があったり、料金が変動したりします。
フェリーで長崎港からゆったり移動

時間に余裕があり、船旅の情緒を味わいたいのであれば、フェリーでの移動がおすすめです。九州商船の「フェリー万葉」や「フェリー椿」などが運航しており、長崎港から福江港まで約3時間10分から4時間ほどの時間をかけてゆっくりと進みます。ジェットフォイルに比べて時間はかかりますが、運賃が安く抑えられる点が大きなメリットです。
また、フェリーならではの利点として、車両を積載できることが挙げられます。ご自身の車やバイクで島内を巡りたいと考えている方には、このフェリー一択となるでしょう。天気の良い日にはデッキに出て、潮風を感じながら五島の島影が近づいてくる様子を眺めるのも、旅の素敵な思い出になるはずです。
佐世保から五島列島へのアクセス方法
長崎県北部の中心都市である佐世保は、五島列島の中でも特に北側に位置する「上五島エリア」への重要な玄関口となっています。福岡や長崎市から向かう場合とは異なり、地理的に近い上五島の中通島や、その北にある宇久島・小値賀島を目指すのであれば、佐世保港からのアクセスが最も効率的で便利なルートと言えるでしょう。
港の周辺には新しい商業施設もあり、乗船前の待ち時間も退屈することなく過ごせます。潮風を感じながら、これから始まる島旅への期待を膨らませるにはぴったりの場所です。
高速船とフェリーで有川港や宇久平港へ
佐世保港からは、九州商船が運航する高速船とフェリーの2種類が就航しています。目的地となる港は主に、上五島の中心地である「有川港」、そして離島の風情が色濃く残る「宇久平港(宇久島)」や「小値賀港(小値賀島)」です。旅のスケジュールや予算、そしてどのような船旅を楽しみたいかに合わせて、最適な手段を選んでみてください。
時間を優先するなら高速船「シークイーン」など
移動時間をなるべく短縮して、島での滞在時間をたっぷりと確保したい方には高速船が適しています。佐世保港から有川港までを約1時間25分ほどで結んでおり、小値賀港を経由する便でも2時間弱で到着します。揺れも比較的少なく快適に移動できるため、船酔いが心配な方にもおすすめです。
ただし、高速船はフェリーに比べて運賃が割高になる点や、車両の積載ができない点には注意が必要です。現地でレンタカーを借りる予定の方や、身軽なバックパッカースタイルの旅にはうってつけの選択肢と言えます。
のんびり派や車移動ならフェリー「フェリーニューこしき」

一方で、旅の道中そのものを楽しみたいという方にはフェリーが魅力的です。フェリー「ニューこしき」は、佐世保港を出発し、宇久平港、小値賀港を経由して有川港へと向かいます。所要時間は有川港まで約2時間半から3時間ほどかかりますが、その分、運賃は高速船よりもリーズナブルに抑えることが可能です。
フェリーの最大のメリットは、やはりマイカーやバイクと一緒に島へ渡れることでしょう。愛車で島内を巡りたいライダーや、荷物の多いキャンパーにとっては頼もしい存在です。また、天気の良い日には甲板に出て、大小さまざまな島々が浮かぶ美しい海を眺めるのも、フェリーならではの贅沢な時間です。
五島列島到着後の島内の移動手段
五島列島にいざ降り立つと、その広大さに驚かされるかもしれません。都会のように電車が走っているわけではなく、流しのタクシーが頻繁に通る場所も限られています。旅の時間を無駄にせず、美しい景色を余すことなく楽しむためには、事前に島内の移動手段を確保しておくことが何よりも大切です。
レンタカーで効率よく観光スポットを巡る


五島列島、特に福江島や中通島は想像以上に広く、観光スポットが島全体に点在しています。公共交通機関の時間を気にせず、自由に動き回れるレンタカーが最もおすすめの移動手段です。海沿いの絶景ロードを走り抜けたり、ふと気になった教会に立ち寄ったりと、自分たちのペースで旅を組み立てられるのが最大の魅力ですね。

ただし、観光シーズンや連休中は予約がすぐに埋まってしまうことも珍しくありません。船や飛行機の手配と同時に、早めにレンタカーの予約を済ませておくのが鉄則です。また、五島では環境に配慮した電気自動車(EV)の導入が進んでいるので、静かでスムーズなドライブを楽しむこともできます。
路線バスや定期観光バスを利用する

車の運転ができない方や、のんびりと車窓からの景色を楽しみたい方にはバスの旅も良いものです。島民の足となっている路線バスは、ローカルな雰囲気を味わえますが、本数が限られているため注意が必要です。

事前に時刻表をしっかりと確認し、帰りのバスの時間まで計算して行動する計画性が求められます。

効率を重視するなら、定期観光バスを利用するのも賢い選択です。福江島などでは、主要な教会や景勝地を半日ほどで巡ってくれるコースが用意されています。ガイドさんの解説を聞きながら巡ることができるので、初めて五島を訪れる方でも安心して見どころを網羅できるのが嬉しいポイントです。
タクシーや電動アシスト自転車の活用

免許はないけれど、バスの時間に縛られたくないという場合は、観光タクシーを利用する手があります。地元のドライバーさんは道を知り尽くしていますから、ガイドブックには載っていないような穴場を教えてもらえることもあるでしょう。

数人で利用すれば、意外とリーズナブルに貸切観光を楽しむことが可能です。

また、港周辺の散策や、風を感じながら移動したい方にはレンタサイクルも人気です。ただ、五島列島はリアス式海岸特有の入り組んだ地形で、坂道が非常に多いため、普通の自転車では少し苦労するかもしれません。体力に自信がある方以外は、電動アシスト付き自転車を選ぶことを強くおすすめします。美しい海を横目に坂道をスイスイ登る爽快感は、自転車ならではの特権です。
福江港ターミナルには、電動アシスト付き自転車のレンタサイクルがあります。福江港ターミナルには「福江港電動アシストレンタサイクル GOTOCHARI」というのぼりが目印になっていますが少し、わかりにくいかもしれません。

分かりにくい場合は、福江港ターミナル「観光案内」で聞くことを強くオススメします。

観光案内で「レンタサイクルの場所」を聞くとお土産物屋まで案内してくれます。

因みにレンタサイクルの場所ですが、福江港の駐車場から福江港ターミナルに入り、右手のお土産屋(売店)がレンタサイクルを行っています。そのお土産屋(売店)の右手に受付カウンターがあります。
まとめ

五島列島への旅路には、飛行機でスマートに移動する手もありますが、やはり船に揺られて海を渡るのも旅の醍醐味です。時間を優先したいなら福岡や長崎からの飛行機が一番ですが、費用を抑えつつ景色を楽しむなら、博多や佐世保からのフェリーやジェットフォイルも捨てがたい選択肢といえるでしょう。
島に着いてからの足も重要です。バスやタクシーもありますが、点在する教会や絶景スポットを自由に巡るには、やはりレンタカーが頼もしい相棒になります。ご自身の旅のスタイルに合った行き方と移動手段を選んで、ぜひ五島の美しい自然を心ゆくまで満喫してください。








