GOTOGIN(ゴトジン)見学ツアーに参加してみた!五島を選んだ理由やヒット商品の舞台裏も

五島で話題の「GOTOGIN(ゴトジン)」蒸留所を見学するなら、今がチャンスです。独自のストーリーを持つこのGINは、製造過程や地域とのつながりを大切にしており、ツアーではその裏側を知ることができます。蒸留所は五島の半泊教会近くにあり、くねくねした山道を進んだ先に位置しています。アクセスが不便な反面、その場所には五島の自然や歴史に根ざした魅力が詰まっています。GOTOGINの製造過程はすべて手作業で行われ、松の実や椿の葉など、厳選された素材を使ったこだわりの一品です。ツアーでは、教会や蒸留所の設計に込められた想い、クラウドファンディングでの支援者との交流など、ここでしか聞けないエピソードが盛りだくさんです。見学後には、GINを直接購入することも可能。地元と深く関わりながら進化を続けるGOTOGINの物語を、ぜひ現地で体験してください。

GOTOGIN(ゴトジン)とは?

GOTOGIN(ゴトジン)は、長崎県五島列島の福江島にある「五島つばき蒸溜所」で製造されているクラフトジンです。このジンは、五島列島の自然や風景を感じさせるような独特の香りが特徴で、主に五島に自生するツバキ(椿)の実や茶葉をはじめ、ジュニパーベリー、ユズ、黒茶など、地元のボタニカル素材を使用して作られています。

出典:五島つばき蒸留所

この製品は、五島列島の自然を象徴するような風味を持ち、特にカメリア(ツバキ)の果実や茶が、他のジンにはないユニークな要素として際立っています。また、地域の風景や文化にインスパイアされており、五島列島の魅力をボトルに閉じ込めたような商品です​

初めてのGOTOGIN見学

お盆の直前、主人の友人夫婦が初めて五島旅行に来たので、2日間さまざまな場所を案内しました。宿泊先は「カラリト」、夕食は「ひなかの」のコース料理を堪能。五島の海の幸、山の幸に大満足していましたが、料理に合うと勧められた「GOTOGIN」というGINのお酒がとても気に入り、お土産として購入したいと言いました。

せっかくなので蒸留所で直接購入しようということになり、土曜日に行われる説明ツアーに参加しました。予約不要で11時と14時の2回実施されるとのことでした。

五島つばき蒸留所への道のり

蒸留所は、半泊教会のすぐ奥に昨年オープンしました。半泊地区といえば、くねくねした細い山道を車で15分ほど進まないとたどり着けません。私は「さとうのしお」のカフェに何度か訪れていたので道には少し慣れていましたが、初めての主人や友人夫婦はその狭さに驚いていました。ちなみに、2日前には大きなトラックが脱輪して大変だったそうです。なぜこんなにアクセスが不便な場所に蒸留所を建てたのか、その理由をツアーで聞けるかもしれないと期待が高まりました。

蒸留所ツアー開始

11時の少し前に到着すると、すでに観光客が2組ほど集まっており、私たちの後にもさらに2組の参加者がやって来ました。待っている間、集荷の車が到着し、郵便局の職員が100個ほどのGOTOGIN商品を引き受けている光景が。さすがに今や大人気のGOTOGINです。説明が始まると、まず案内されたのは蒸留所ではなく横の半泊教会。実は、スタッフがこの地域への恩返しとして、毎週教会の清掃を手伝っているそうです。ミサに来る信者は現在6人ほどで、以前は近所のおばあちゃんが1人で掃除をしていました。この地にはキリシタン弾圧から逃れた人々が長崎本島から船で渡ってきたという歴史があります。半泊の名前の由来もここから来ており、このツアーで初めて知りました。

教会と蒸留所のつながり

この小さな木造教会は、五島の多くの教会を手がけた鉄川与助によって建てられました。蒸留所を建てる際、スタッフが自ら景観を崩さないようにと石垣塀を作り、コンクリートは一切使用せずに仕上げたそうです。教会への愛情は蒸留所内にも反映されています。教会の見学後、いよいよ蒸留所内へ移動。

ガラス越しに蒸留機が見え、特に目を引くのは、教会と同じ技法で作られた天井近くのステンドグラスです。五島の景色や椿の花をモチーフにしたデザインで、ドア枠も修道院風のアーチ型になっています。玄関の壁にはクラウドファンディングで寄付してくれた方々の名前が刻まれ、応援者への感謝の気持ちが表れています。

GOTOGIN製造へのこだわりと人気の秘密

現在、蒸留所には東京から来た3人のスタッフがいて、月3,000本のGINを手作業で製造しています。しかし、人気の高まりに対し生産が追いつかず、増産を目指して工場を増築中だそうです。GOTOGINの人気の理由はその製造過程にあります。蒸留機はヨーロッパから輸入された高級品で、製造に使われた木材も無駄にせずに活用しています。原料には松の実やラズベリー、ゆずの皮、五島の椿の実などを使い、他の蒸留所ではまとめて蒸留するところを、ここではそれぞれ別々に蒸留してからブレンドするこだわりがあります。ブレンダーは3人のスタッフのうち1人のみで、絶妙なバランスでブレンドされ、47度という高いアルコール度数ながらも濁りがない澄んだ味わいを実現しています。

ボトルデザインにも見えるこだわり

GOTOGINのボトルデザインにも強いこだわりがあり、初めて訪れたときに感動した半泊海水浴場の美しい景色と、五島の椿をイメージした涼しげなデザインが採用されています。このボトルは2つの賞を受賞し、デザインにはあのリリーフランキーさんも関わっているとのこと。さらに、今年亡くなった画家・山本二三氏が描き残した五島の風景をラベルに使用した限定商品も販売されています。

五島を選んだ理由とは?

最後に、なぜ五島に蒸留所を建てたのかについて、スタッフが語っていました。彼らは東京でビール開発に携わっていましたが、ただ美味しい商品を作るだけではなく、その土地の歴史や自然を背景にしたものづくりがしたいと考えるようになったそうです。

コロナ禍を経てその思いが一層強まり、候補地の中から五島を選んだということでした。五島の地で生まれたGOTOGINが、これからも地域とともに成長していく姿を見守りたいですね。

まとめ

「五島つばき蒸溜所」のGOTOGINの見学は、五島の豊かな自然と文化に触れながら、クラフトジンの魅力を体感できる貴重な機会です。ツアーでは、GINの製造過程や蒸留所の建設に込められた地域との深い関わりが紹介され、教会と蒸留所の特別なつながりが印象的です。特に、すべて手作業で行われる製造過程や、椿の実など地元の素材を活かした製品作りへのこだわりが、GOTOGINの人気を支えています。GOTOGINの見学ツアーに参加した人は、五島の風景や歴史を感じながら、他にはないユニークなジンを楽しむことができると思います。