紅はるかには産地ブランドは存在するが安納芋に産地ブランド、企業ブランドを使用した安納芋はあるのか?さつまいもの主なブランドと共に解説します!

農林水産省のホームページによると、2021年に日本で栽培されたさつまいもの品種は65種類です。さらに、同じ品種であっても、産地や企業によって独自にブランド化されているさつまいもも多くあります。今回は、さつまいものブランドについて紹介します。

さつまいもの主なブランド

さつまいものブランドには次のようなものがあります。

紅はるかのブランド

「紅はるか(農林64号)」は、外観が優れる「九州121号」と皮色や食味が優れている「春こがね」を交配育成した品種です。2010年(平成22年)に品種登録されたさつまいもです。既存の他の品種よりも、食味や外観が「はるか」に優れていることから「紅はるか」という名前がつけられました。

・甘太くん

「甘太くん」は、紅はるかを収穫後40日以上貯蔵することで甘味を増加させた、大分(JAおおいた)独自のブランドです。

・紅優甘(べにゆうか)

「紅優甘」は、茨城県のJAなめがた甘藷(さつまいも)部会で生産した紅はるかを、独自で商標登録した名称です。

・いもジェンヌ

「いもジェンヌ」は、JA新潟かがやきが商標登録した紅はるかのブランド名です。女性を思わせる、上品で優雅な風味から「いもジェンヌ」と名付けられました。

他にも、宮崎県串間市の、くしまアオイファームが販売する「葵はるか」や、茨城県のカルビーかいつかスイートポテト株式会社の「紅天使」などがあります。

高系14号のブランド

「高系14号」は、1945年(昭和20年)に品種登録されて以降、長く栽培されている品種です。東の「紅あずま」に対して西の「高系14号」と言われるように、西日本では今も多く栽培されています。

・なると金時

「なると金時」は、高系14号の改良種として誕生しました。徳島県鳴門市の大毛島(おおげじま)が発祥と言われています。主に徳島県の鳴門市(里浦町、大津町、大毛島)、川内町、松茂町、板野町などで栽培されています。

・五郎島金時

「五郎島金時」は高系14号の選抜品種で、石川県金沢市の五郎島・粟ヶ崎地区や内灘砂丘で主に生産されているさつまいもです。

・宮崎紅

「宮崎紅」は、高系14号を選抜育成したオリジナルブランドで、宮崎県の南に位置する串間市を中心に栽培されています。

他にも、鹿児島県の「紅さつま」や、熊本県JA菊池の「ほりだしくん」、千葉県JAかとりの「紅娘」などがあります。

紅あずまのブランド

「紅あずま(ベニアズマ)」は、形や皮の色が優れた「関東85号」と、焼酎の原料として有名な「コガネセンガン」を組み合わせて育成した品種です。主に関東で多く栽培されていて、西の「高系14号」に対して東の「紅あずま」と言われています。

・紅こがね

「紅こがね」は茨城県のJAなめがたしおさいが、紅あずまから品質が優良なものを選抜育成した品種を商標登録したものです。

安納芋にもブランドがある?

「安納芋(あんのういも)」は、現在の焼いもブームの火付け役となった、ねっとり系のさつまいもを代表する品種です。高い糖度とねっとりクリーミーな食感が特徴です。ここまで、紅はるか、高系14号、紅あずまの各ブランドをご紹介してきましたが、安納芋にもブランドがあるのでしょうか?

安納芋とは

安納芋は、第二次世界大戦でスマトラ島に出兵していた兵隊が、戦後に持ち帰った芋を種子島で栽培しはじめたのが始まりだと言われています。それまで栽培していたさつまいもよりも糖度が高く食味が良いことから、島内の他の地域にも栽培が広まりました。

安納芋の種類

1988年(昭和63年)から、鹿児島県農業開発総合センター熊毛支場が、種子島の島内で栽培されていたおいしいさつまいもを集めて個体選抜を行い、1998年(平成10年)に「安納紅」と「安納こがね」を品種登録しました。

・安納紅

一般的に安納いもと呼ばれているもので、皮色が褐紅色で肉食は黄色です。

・安納こがね

在来の安納芋が突然変異して、皮色が薄い黄褐色になったものを選抜育成した品種です。

安納芋のブランド

安納芋は、2013年(平成25)までは種子島でしか栽培が認められていませんでしたが、現在は規制が解除されていて、他の地域でも栽培が可能となっています。しかし、年間平均気温19℃という温暖な気候と、ミネラルを豊富に含んだ土壌で栽培される種子島の安納芋と、他の地域で作られたものとでは同じ味にはなりません。種子島以外の地域で栽培された、従来の品質とは異なるものが安納芋と呼ばれると、安納芋のイメージが低下してしまう可能性があります。そこで、安納芋の生産者と西之表市・中種子町・南種子町の3市町、鹿児島県、JA種子屋久は「安納いもブランド推進本部」を2010年(平成22)に設立。安納芋の認証マークとキャラクターのマークを一般商標として出願して、甘さなどの品質基準を満たしたものにシールを貼って出荷することで、他の地域で栽培されたものとの差別化を図っています。

種子島以外でも安納芋の栽培は行われていますが、「安納いもブランド推進本部」以外で、現在ブランド化されている安納芋は無いようです。

まとめ

日本で栽培されているさつまいもは65品種です。さらに同じ品種でも、地域や企業によってブランド化されたものもたくさんあります。品種やブランドの名前を知っていれば、さつまいもを選ぶときの基準になるでしょう。あなたのお気に入りのブランドを見つけてみてはいかがでしょうか。