離島農業を調べてみた!離島で作っている野菜は安納芋以外に何がある?離島という環境を活かした農業とは?離島における農業の現状から離島農業で作られている野菜をまとめてみた

九州地方にはたくさんの離島があります。海に囲まれている離島は、漁業のイメージが強いですが、安納芋に代表されるさつまいもの栽培など農業も盛んです。また、安納芋以外にも、離島ではその地域の特性を活かしてさまざまな野菜や果物が栽培されているので、紹介します。ぜひ最後までご覧ください。

離島における農業の現状

離島は海に囲まれているため、漁業が盛んに行われているイメージが強いですが、同じ第一次産業である農業にも多くの島民が就業しています。日本農業研究所が発表した「離島農業の特徴と農業関係交付金の活用について」によると、平成27年における離島の第一次産業就業者数は、農林業が36,045人に対して、漁業は18,181人となっていました。漁業のおよそ倍の人数が農林業をしているようです。なかでも九州地方の離島は、温暖多雨な気候や離島ならではの地形を活かして、さつまいもやサトウキビのほかにも、さまざまな野菜が栽培されています。

種子島・屋久島で栽培されている主な野菜

「種子島」は、日本本土の最南端である鹿児島県佐多岬の南およそ45kmに位置する離島です。鉄砲が伝来した島として知られているほか、日本唯一の実用衛星打ち上げ基地である「種子島宇宙センター」があることでも有名です。種子島の産業は農業が中心で、全国的に人気のさつまいも「安納芋」や、九州で最も早く収穫されるお米「コシヒカリ」などが栽培されています。特に「安納芋」は、第二次世界大戦後にスマトラ島から兵隊が持ち帰った芋を、種子島の安納地区で栽培したのが始まりで、種子島が安納芋の発祥の地です。

「屋久島」は、鹿児島県の大隅半島佐多岬の南南西約60kmに位置する離島です。樹齢数千年を超えるヤクスギの天然林など、豊かな自然や生態系が評価されて、白神山地とともにユネスコの世界自然遺産に登録されています。屋久島は島の9割以上が山地で平地が少ないため、畜産や温暖な気候を活かした果樹栽培が農業の中心です。なかでも、タンカンは日本有数の産地で「屋久島たんかん」としてブランド化されています。

種子島ではさつまいもやお米以外にも、ばれいしょ・かぼちゃ・そらまめ・キヌサヤえんどう・スナップえんどう・ブロッコリーといった野菜やお茶、サトウキビなどが栽培されています。屋久島ではタンカンの他に、ぽんかん・完熟マンゴー・パッションフルーツなどの果物が栽培され、島の特産品になっています。

五島列島で栽培されている主な野菜

「五島列島」は、長崎県の西およそ100kmの海上に浮かぶ、大小152の島々からなる列島です。漁業のイメージが強いですが、もともと島民の多くは半農半漁の生活だったこともあって、農業も盛んです。五島列島の島々では、温暖な気候に加えてミネラルをたっぷりと含んだ肥沃な土壌によって、さまざまな野菜や果物が栽培されています。

主な野菜は、ブロッコリーや高菜・アスパラガス・レタス・スナップえんどう・そらまめ・パプリカ・トマトなどです。果物は、マンゴーやいちご・びわ・メロンがおいしいと評判です。また、畜産も盛んで五島牛や五島美豚が特産品として知られています。

なお「五島商店佐藤の芋屋」のある福江島は五島列島に属しており、安納芋を有機栽培して皆様にお届けしています。

奄美群島で栽培されている主な野菜

「奄美大島」は、鹿児島市から南におよそ380kmに位置する周囲およそ461kmの島で、新潟県の佐渡島に次いで日本で2番目に大きい離島です。手つかずの自然が多く残っていて、国の特別天然記念物に指定されているアマミノクロウサギや県鳥のルリカケス、日本で第2位の面積を有するマングローブ原生林など、貴重な動植物の宝庫で「東洋のガラパゴス」と呼ばれています。

奄美大島では、タンカンやすもも、パッションフルーツなどの果物や、サトウキビ、野菜、切花、畜産など複合的に農業が行われています。また、奄美大島以外の「奄美群島」で栽培されている農産物もご紹介します。「喜界島」ではパッションフルーツやマンゴーなどの果物やトマト・かぼちゃ・サトウキビ・ゴマなど、「徳之島」ではパッションフルーツやマンゴーなどの果物やサトウキビに加えて、じゃがいもの栽培も盛んです。「沖永良部島」では、サトウキビやじゃがいも、花など、「与論島」ではサトウキビの栽培が行われています。

対馬で栽培されている主な野菜

「対馬(対馬島とも呼ばれる)」は福岡県からおよそ132km、朝鮮半島へは対馬海峡を挟んで約50kmの場所に位置する国境の島です。島の面積は約707.42㎢(平方キロメートル)あり、佐渡島と奄美大島に次いで日本で3番目に大きな離島です。

耕作地は水田が549ha(ヘクタール)、畑が240haで島の面積の約1.1%と少ないですが、比較的温暖な気候を活かして、アスパラガスやミニトマト、しいたけなどが栽培されています。その他には、「対州そば」や「日本蜜蜂の蜂蜜」が特産品として島外に出荷されています。

まとめ

これまでにご紹介した通り、九州地方の離島では人気の安納芋に代表されるさつまいも以外にも、それぞれの島でさまざまな野菜や果物が栽培されています。九州に旅行に行く機会があれば、ぜひ離島まで足を運び、島特産の農産物を味わってみてはいかがでしょうか。