安納こがねの特徴は?安納紅との違いは?糖度、味、栽培方法、産地を徹底解説

安納芋の魅力に惹かれる方々にとって、より甘くてねっとりとした食感を楽しめる「安納こがね」の存在は見逃せません。一般的な安納紅とは異なり、安納こがねはその希少性から「幻のさつまいも」とも呼ばれることがあります。この品種は限られた地域でしか生産されておらず、その特有の甘さとしっとり感が一層際立ちます。しかし、その特長を知らずに過ごすのはもったいない。この記事では、安納こがねの特徴や、安納紅との違いを詳しく解説します。最後までお読みいただくことで、甘さが濃縮された「安納こがね」の美味しさを知ることができ、次回、さつまいもを購入する際、もし店頭にあれば迷わず手が伸びるはず。また安納こがねに向いている食べ方も記事後半で説明しています。安納こがねの魅力をご紹介します!

安納こがねとは?

安納黄金(こがね)とは?

安納こがねは、「安納紅」の突然変異でできたという経緯を持ち、1998(平成10)年に安納紅とともに登録された品種です。安納紅とは?と思った方もいるかもしれませんが、一般的に「安納芋」と呼ばれているさつまいもは、「安納紅」という品種なのです。安納芋は、よくご存じの通り「ねっとり」焼き芋の代表格で紅はるかと並ぶ品種です。私たちが安納芋と普段目にしているのは「安納紅」がほとんどで「安納こがね」を目にすることがなかなか無いのかもしれません。それだけ希少品種と言えるのかもしれません。

この投稿をInstagramで見る

 

まこやま(@macoyama07)がシェアした投稿


安納こがねの話に戻りましょう。農林水産省「かんしょの生産等」によると、安納こがねの生産は令和2年現在、鹿児島県と富山県、令和1年と平成30年は鹿児島県のみ。作付けシェアも少ないことから「幻のさつまいも」と言われることもあるほどです。安納紅との違いについては後述しますが、安納こがねも“ねっとり”とした食感で、強い甘みが特徴。豊富に含まれたカロテンの風味も感じられるかもしれません。スイーツのようなさつまいもが食べたい人におすすめの品種と言えます。

安納こがねは安納紅と何が違う?

安納黄金(こがね)と安納紅の違い

今や全国的に定着した安納紅(一般的に安納芋と呼ばれる品種)ですが、そこから突然変異で生まれた安納こがねとは、どのような違いがあるのでしょうか。ここでは生産状況のほか、見た目や味の観点から比較していきましょう。

安納こがねの産地・収穫量

安納黄金(こがね)の産地、収穫量

安納こがねと安納紅には生産量に大きな違いがあります。農林水産省が発表した令和元年~令和2年のデータを参照すると、作付面積の差はなんと7~9倍以上。シェアも安納こがねは1%にも届いておらず、その希少性が窺えます。

作付面積(ha) 作付シェア(%) 産地
安納こがね(R.1) 68.5 0.2 鹿児島(68.5ha)
安納こがね(R.2) 54.8 0.2 鹿児島(49.2ha)、富山(5.6ha)
安納紅(R.1) 527.9 1.5 鹿児島(513.2ha)、高知(11.0ha)、愛知(1.7ha)、福岡(1.6ha)、秋田(0.4ha)
安納紅(R.2) 526.9 1.7 鹿児島(489.6ha)、高知(36.4ha)、秋田(0.4ha)、愛知(0.3ha)、茨城(0.2ha)

参照:農林水産省「かんしょの生産等」、農林水産省「かんしょ品種の普及状況」※令和2年に関しては概算値より

生産地は両者とも鹿児島県が大部分を占めていますが、安納紅は高知県などいくつかの地域でも栽培が行なわれています。それに対し、安納こがねは鹿児島県内でほとんど完結していると言っても良いでしょう。ちなみにその理由の一つには、栽培時の手間が挙げられるそうです。

安納こがねの果肉

安納黄金(こがね)の果肉

安納こがねと安納紅は、皮の色味がまったく違います。安納紅が褐紅色なのに対し、安納こがねは淡黄色。一方、肉食部分はどちらもオレンジ色で、これは芋に含まれるカロテンによるものです。

安納こがねの糖度(甘味)

熟成度など他の要因によって前後しますが、一般的に安納こがねのほうが甘みが強いと言われています。また、口当たりも安納紅に比べて“しっとり”しており、加熱することで甘さもねっとり具合もアップ。よりスイーツらしいさつまいもが食べたい人にぴったりですね。

安納こがねの栽培・保存方法は?

安納黄金(こがね)の栽培方法

安納芋の苗植え付けは4月下旬~7月上旬頃、収穫は9月下旬~12月上旬頃です。その後、13~15℃に保った状態で1カ月以上貯蔵するのですが、この過程はでんぷんを糖に変えるための大事な期間。他のさつまいもにもこういった熟成期間はありますが、安納芋も同様と言えます。保存に適した温度も13~15℃です。基本的に屋内の暗所が理想で、20℃以上になる場合は風通しが良い日陰を、10℃以下になる場合は新聞紙に1本ずつ包んで保管してください。長持ちさせようと冷蔵庫に入れたくなるかもしれませんが、夏場以外は常温保存するようにしましょう。安納こがねは10月中旬くらいから一部店頭に並んだり、ネット通販なので販売(その時期までは予約販売)という感じになっています。こちらも安納芋同様、10月中旬~2月、貯蔵法が優れている農家や農業法人では春先の4月くらいまで出荷が可能なようです。

安納こがねに向いている食べ方

安納黄金(こがね)の向いている食べ方

安納こがねを調理する場合は、一般的な安納芋と同様に考えて問題ありません。強いて言えば、甘みとねっとり具合が比較的強いため、よりスイーツに向いているかもしれませんね。

〈向いている調理法一例〉

  • 焼き芋
  • ポタージュ
  • フラッペ
  • スイートポテト
  • 芋ようかん

なかでも、さつまいもの定番・焼き芋は外せませんね。安納こがねの味や食感をダイレクトに味わうことができます。ご自宅で作る場合、手軽に作るなら電子レンジがおすすめですが、ねっとり具合や香ばしさを求めるならトースターが向いています。詳しくはこちらの記事で安納芋の焼き芋に向いている器具として紹介しています。

まとめ

安納黄金(こがね)の特徴まとめ

安納こがねは、安納紅から突然変異で誕生した希少なさつまいもで、他の品種と比べても際立つ甘さとねっとり感が特徴です。一般的な安納芋(安納紅)と比べると、安納こがねは糖度がさらに高く、しっとり感も一層強いため、焼き芋やスイートポテト、芋ようかんなどのスイーツ作りに特に適しています。また、紅あずまや高系14号といったほくほく系のさつまいもと比べると、その食感や糖度はまさに「スイーツ」と呼ぶにふさわしい滑らかさと甘さを持っています。安納こがねはねっとりにしっとりを追加したような食感になっています。

安納黄金(こがね)の特徴まとめ2

しかし、安納こがねはその希少性ゆえに「幻のさつまいも」とも称され、生産量は非常に限られています。安納紅と比べても作付面積は極めて少なく、市場に出回ることが稀です。そのため、実際に店頭で見かける機会は少ないかもしれませんが、一度手に入れた際には、その特別な味わいを存分に楽しむ価値があります。特に甘党の方やさつまいも好きの方には、他の品種では味わえない独特の甘さとしっとり感を体験していただきたいです。店頭では限りなく入手が難しいと思いますが店頭で見つけた際は、迷わず購入をおすすめします。どうしても食べてみたいという方は、ネット通販で探してみるのもひとつの方法です。ネット通販でも希少品種なだけに品切れを起こしている場合も多々(筆者が見つけた時は品切れでした)通販で見つけた際には、迷わずポチっとしてくださいね。