安納こがねはどんな品種?安納紅との違いは?特徴や栽培方法、産地、味、向いている食べ方を紹介します!第4次焼き芋ブームの牽引役の安納芋の品種を調べてみました!

「第4次焼き芋ブーム」とも呼ばれるブーム下において話題となった品種の一つ、安納芋。さつまいもと言えば“ほくほく”した食感が定番であったのに対して、その“ねっとり”とした食感に驚いた方も多いのではないでしょうか。糖度も40度と高く、“ほくほく系”の代表とも言えるベニアズマの糖度(30度)を大きく引き離しています。さつまいものイメージ拡大に貢献した安納芋ですが、「安納こがね」という品種があることはあまり知られていないかもしれません。実は驚くことに、一般的に出回っている安納芋よりも甘くてねっとりしているんですよ。この記事では安納こがねの特徴や、一般的な安納芋との違いについて解説していきます。おすすめの調理法もご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

安納こがねとは?

安納こがねは、「安納紅」の突然変異でできたという経緯を持ち、1998(平成10)年に安納紅とともに登録された品種です。安納紅とは?と思った方もいるかもしれませんが、一般的に「安納芋」と呼ばれているさつまいもは、「安納紅」という品種なんですよ。

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安納こがねの話に戻りましょう。農林水産省「かんしょの生産等」によると、安納こがねの生産は令和2年現在、鹿児島県と富山県、令和1年と平成30年は鹿児島県のみ。作付けシェアも少ないことから「幻のさつまいも」と言われることもあるほどです。安納紅との違いについては後述しますが、安納こがねも“ねっとり”とした食感で、強い甘みが特徴。豊富に含まれたカロテンの風味も感じられるかもしれません。スイーツのようなさつまいもが食べたい人におすすめの品種と言えます。

安納紅とはどう違うの?

今や全国的に定着した安納紅(一般的に安納芋と呼ばれる品種)ですが、そこから突然変異で生まれた安納こがねとは、どのような違いがあるのでしょうか。ここでは生産状況のほか、見た目や味の観点から比較していきましょう。

生産地・量

安納こがねと安納紅には生産量に大きな違いがあります。農林水産省が発表した令和元年~令和2年のデータを参照すると、作付面積の差はなんと7~9倍以上。シェアも安納こがねは1%にも届いておらず、その希少性が窺えます。

作付面積(ha) 作付シェア(%) 産地
安納こがね(R.1) 68.5 0.2 鹿児島(68.5ha)
安納こがね(R.2) 54.8 0.2 鹿児島(49.2ha)、富山(5.6ha)
安納紅(R.1) 527.9 1.5 鹿児島(513.2ha)、高知(11.0ha)、愛知(1.7ha)、福岡(1.6ha)、秋田(0.4ha)
安納紅(R.2) 526.9 1.7 鹿児島(489.6ha)、高知(36.4ha)、秋田(0.4ha)、愛知(0.3ha)、茨城(0.2ha)

参照:農林水産省「かんしょの生産等」、農林水産省「かんしょ品種の普及状況」※令和2年に関しては概算値より

生産地は両者とも鹿児島県が大部分を占めていますが、安納紅は高知県などいくつかの地域でも栽培が行なわれています。それに対し、安納こがねは鹿児島県内でほとんど完結していると言っても良いでしょう。ちなみにその理由の一つには、栽培時の手間が挙げられるそうです。

色味

安納こがねと安納紅は、皮の色味がまったく違います。安納紅が褐紅色なのに対し、安納こがねは淡黄色。一方、肉食部分はどちらもオレンジ色で、これは芋に含まれるカロテンによるものです。

甘味

熟成度など他の要因によって前後しますが、一般的に安納こがねのほうが甘みが強いと言われています。また、口当たりも安納紅に比べて“しっとり”しており、加熱することで甘さもねっとり具合もアップ。よりスイーツらしいさつまいもが食べたい人にぴったりですね。

栽培・保存方法は?

安納芋の苗植え付けは4月下旬~7月上旬頃、収穫は9月下旬~12月上旬頃です。その後、13~15℃に保った状態で1カ月以上貯蔵するのですが、この過程はでんぷんを糖に変えるための大事な期間。他のさつまいもにもこういった熟成期間はありますが、安納芋も同様と言えます。保存に適した温度も13~15℃です。基本的に屋内の暗所が理想で、20℃以上になる場合は風通しが良い日陰を、10℃以下になる場合は新聞紙に1本ずつ包んで保管してください。長持ちさせようと冷蔵庫に入れたくなるかもしれませんが、夏場以外は常温保存するようにしましょう。

安納こがねに向いている食べかた

安納こがねを調理する場合は、一般的な安納芋と同様に考えて問題ありません。強いて言えば、甘みとねっとり具合が比較的強いため、よりスイーツに向いているかもしれませんね。

〈向いている調理法一例〉

  • 焼き芋
  • ポタージュ
  • フラッペ
  • スイートポテト
  • 芋ようかん

なかでも、さつまいもの定番・焼き芋は外せませんね。安納こがねの味や食感をダイレクトに味わうことができます。ご自宅で作る場合、手軽に作るなら電子レンジがおすすめですが、ねっとり具合や香ばしさを求めるならトースターが向いています。詳しくはこちらの記事もご覧ください。

まとめ

安納こがねは安納紅よりも甘みやねっとり具合が強く、甘いものが好きな方にはたまりません。焼き芋をはじめ、スイートポテトなどのお菓子作りにも向いているでしょう。しかし流通量が多いとは言えず、店頭で見る機会は少ないかもしれません。通販で販売されていることもあるため、気になった方はぜひチェックしてみてくださいね。