
地瓜球(ディーグゥアーチョウ)とは?地瓜球レシピを教えます(代用レシピも)
地瓜球という食べ物をご存知でしょうか。日本ではまだあまり馴染みがありませんが、台湾では昔から親しまれている定番のおやつです。見た目はまん丸で、ほんのり甘く、もちもちとした食感が特徴。街角の屋台や夜市でもよく見かける人気スナックで、子どもから大人まで幅広い世代に愛されています。本記事では、栄養士でありヘルシー料理研究家の筆者が、地瓜球の魅力をたっぷりご紹介。実際に作ってみた調理工程や感想も交えながら、その美味しさや楽しみ方をお伝えします。台湾好きの方や新しいおやつを探している方にも、ぜひ最後まで読んでいただきたい内容です。
地瓜球とは
地瓜球―読み方は「ディーグゥアーチョウ」。別名「QQ蛋(キューキュータン)」とも呼ばれています。台湾の夜市に並ぶ屋台では、昔から絶大な人気を誇るスナックで、現地ではたくさんのお店が地瓜球を提供しています。日本で例えるなら、どこか懐かしい雰囲気が漂うベビーカステラのような存在と言えるでしょう。手軽に甘いおやつを頬張りながら歩く時間は、国を問わず心が弾むものです。
そんな地瓜球という名前を初めて目にすると、どんな食べ物なのか少し想像しづらいかもしれません。「球」という字から、丸い形をイメージする方が多いと思いますが、「地瓜」という部分には馴染みがない方も多いのではないでしょうか。実を言うと、筆者も初めて文字だけを見たときは、キュウリを思い浮かべてしまいました。丸いキュウリのお菓子なんて、正直あまり美味しそうには思えませんでしたが、今ではそんな先入観を持った自分を少し反省しています。
実際に食べてみると、地瓜球は日本ではなかなか出会えない、新鮮でクセになる美味しさ。もちろん、「地瓜」はキュウリではなく、中国語で「さつまいも」を指します。形は確かに瓜に似ているかもしれませんが、中身は全く別物です。さつまいもを蒸して柔らかくしたものに砂糖や粉類を混ぜて生地を作り、丸めて油でカリッと揚げたのが地瓜球。材料や工程だけを聞くと、さつまいもドーナツを思い浮かべる方もいるかもしれませんが、ひと口食べればその違いがはっきり感じられます。
ドーナツとは全く異なる、もっちりとした弾力とほんのりとした甘み、カリッとした食感。地瓜球だけが持つ独特の「QQ感」と呼ばれる歯ごたえが魅力で、台湾の屋台グルメのなかでもリピートしたくなる存在です。日本にはありそうでなかった、とびきり美味しいおやつに出会えた驚きと感動を、ぜひ多くの方に味わっていただきたいです。
地瓜球の魅力
さつまいもドーナツと地瓜球の違いは、その“粉”にこそ秘密があります。一般的なドーナツには薄力粉が使われるのに対し、地瓜球では「タピオカ粉」が主役。タピオカ粉とは、亜熱帯地域で育つ「キャッサバ」という芋から作られる澱粉のこと。日本でも人気のタピオカドリンクに入っている、あのもちもちの粒もこの粉から生まれています。料理やお菓子作りに使うと、独特の弾力や食感が加わるのが特徴です。
また、タピオカ粉はブラジル発祥のチーズパン「ポンデケージョ」にも欠かせない材料。地瓜球も、このタピオカ粉を使うことで、ドーナツやカステラとは一線を画す、もっちり・むっちりとした食感に仕上がります。揚げたては外側がカリッと香ばしく、中はふんわりと弾力があり、さつまいもの優しい甘さが広がります。
日本でもさつまいもを使った和菓子は多いものの、ここまでモチモチしたさつまいも菓子は意外と見かけません。一口頬張った瞬間、その相性の良さに感動し、すぐに虜になってしまいました。地瓜球の味を知った今となっては、なぜこの組み合わせが日本で一般的にならなかったのか、とても不思議に思えてなりません。台湾の屋台文化ならではの発想と美味しさを、ぜひ多くの人に体験してほしいと心から思います。
地瓜球はダイエット中やダイエット食向き
地瓜球の魅力は、何と言ってもその味だけにとどまりません。揚げ物というイメージが先行しがちですが、ドーナツやほかのスイーツに比べて、意外にもヘルシーなおやつという一面を持っています。
砂糖が少ない
まず驚かされるのが、砂糖の使用量です。多くのお菓子を手作りすると、思っていた以上に砂糖を加えている現実に驚くことが多いものですが、地瓜球はその常識をくつがえします。まるで料理のレシピを見ているかのように、砂糖の量がとても控えめ。甘さはさつまいもの自然な風味が主役になっており、くどさを感じません。
卵やバターを使わない
また、通常お菓子作りで欠かせない卵やバターといった材料も、地瓜球には登場しません。粉類を使うスイーツといえば、卵やバターが必須と思い込んでいる方も多いはずですが、地瓜球はこの2つを使わなくても驚くほど美味しく仕上がります。あっさりとした後味と軽やかな食感も、このシンプルな材料構成のおかげかもしれません。
粉類の半量がさつまいも
さらに大きなポイントは、生地の約半分がさつまいもでできていること。さつまいもにはビタミンやミネラル、食物繊維など、現代人が不足しがちな栄養素がぎっしり詰まっています。小麦粉やタピオカ粉だけで作るお菓子よりも、ぐっと栄養バランスに優れた仕上がりです。おやつなのに、どこか体にもやさしい安心感。ヘルシー志向の方やお子さまのおやつにもぴったりのスナックと言えるでしょう。
地瓜球レシピ(代用含む)を教えます
地瓜球の美味しさや特徴をお伝えしてきましたが、ここからは実際に自宅でも楽しめる作り方をご紹介します。材料も手順もシンプルなので、初めての方でも気軽にチャレンジしやすいおやつです。本場台湾の屋台気分を味わいながら、ご家族や友人と一緒に揚げたての地瓜球を楽しんでみてはいかがでしょうか。
本場の味を再現するなら、やはりタピオカ粉が理想的ですが、手に入りにくい場合でも心配はいりません。身近な材料で十分に美味しく作れます。代用品としておすすめなのは「上新粉」。これを使えば、もっちりとした食感に仕上がります。実際に試してみた中では、白玉粉もかなり近い食感でしたが、粒子が粗いため潰す手間がかかり、扱いやすさを考えると上新粉のほうが手軽です。もしどちらも家になければ、さらに身近な片栗粉でもOK。多少食感は変わりますが、十分満足できるおやつになります。手元にある材料で気軽に地瓜球作りにチャレンジしてみてください。
〈材料〉
- さつまいも 100g
- 上新粉 40g
- 砂糖 20g
- 牛乳 50ml(状態を見ながら量を調整して下さい)
- 揚げ油 適量
〈作り方〉
1.さつまいもを蒸して皮を除き、ゴムベラなどで滑らかになるように潰す。
2.熱いうちに上新粉、砂糖を加えて均一になるようによく馴染ませる。まとまらないようであれば、牛乳を少しずつ足して、耳たぶ位の固さになるようにする。
3.2を一口サイズの大きさのお団子に成型する。
4.170度の揚げ油で2分ほど揚げる。
地瓜球まとめ
地瓜球は、手軽に作れてすぐに食べられるのが魅力。さつまいもの優しい甘みともっちりした独特の食感は、一度味わうとやみつきになります。レシピは2人分で紹介しましたが、実際にはさつまいも一本分で作っても、あっという間になくなってしまいそうです。ちなみに、標準的なさつまいもは1本200gから250g程度。一本まるごと使いたい場合は、レシピを2倍くらいの分量に調整しながら作ればOK。きっちり計量しなくても、おおまかな目安で大丈夫という手軽さも、地瓜球のうれしいポイントです。
市販のおやつももちろん美味しいものですが、やはり手作りには特別な温かみや安心感があります。手間をかけずに作れるので、お菓子作り初心者の方でも心配いりません。地瓜球なら、誰でも美味しく仕上げることができます。お子さまやご家族と一緒に揚げたてを味わえば、きっと笑顔がこぼれるはず。ぜひ一度チャレンジして、その素朴な美味しさと台湾の屋台気分を楽しんでみてください。