セミの鳴き声とともにやってくる、五島の本格的な夏
朝、職場へ向かう道を歩いていると、ジリジリと照りつける太陽とともに、力強いセミの大合唱が耳に飛び込んでくる季節になりました。 職場に到着して同僚たちと顔を合わせるなり、挨拶代わりに「あぁ、もうすっかり夏だね〜」「今日も朝から本当に暑いねぇ」と笑い合うのが、最近の毎日の日課になっています。
このうだるような暑さが本格化してくると、カレンダーを見なくても「あぁ、もうすぐお盆がやってくるな」と実感します。 夏休み、帰省、海水浴、そしてご先祖様の供養。お盆の過ごし方は日本全国さまざまですが、ここ長崎県、そして五島列島のお盆の風景は、他の都道府県の一般的なイメージとは全く異なる、非常にユニークでエネルギッシュなものです。
その最たるものが、夏の夜空に鳴り響く爆竹の音と、お墓の前に広がる色鮮やかな火花です。 今回は、五島列島の夏の風物詩である「お墓で花火」の独自の文化を中心に、夏真っ盛りの美しい海水浴場の風景や、職場で共に汗を流すベトナムからの仲間たちとの食を通じた異文化交流について、島暮らしのリアルな日常をたっぷりと綴っていきたいと思います。
え!?お墓で爆竹?長崎・五島列島のド派手なお盆文化

他県から五島列島へ観光や移住でやってきた人が、初めてのお盆の時期に最も度肝を抜かれる光景。それは間違いなく「お盆の時期に、お墓で花火をする」という文化でしょう。
一般的な日本の感覚からすれば、「静かで厳粛な場所であるお墓で花火をして遊ぶなんて、不謹慎だ!罰当たりだ!」と怒られてしまいそうですよね。しかし、長崎県全域やここ五島列島においては、お墓の前で花火をしたり爆竹を鳴らしたりすることは、昔から当たり前に行われている「ご先祖様への正しい供養」の形なのです。
夕暮れの墓地に響き渡るロケット花火と爆竹の音

お盆の期間(8月13日の迎え火から15日の送り火にかけて)、夕暮れ時になると島内のあちこちの墓地に向けて、提灯(ちょうちん)やお花、お供え物を持った家族連れが次々と集まってきます。 お墓の掃除をし、花を供え、線香をあげて手を合わせる……ここまでは全国共通のお墓参りの風景です。

しかし、長崎のお墓参りはここからが本番です。 スーパーやホームセンターで箱買いしてきた大量の花火セットを広げ、お墓の敷地内(またはそのすぐ目の前の通路)で、子どもも大人も一緒になって一斉に花火に火をつけ始めます。 シューッと火花を散らす手持ち花火から始まり、地面に置いて噴き出すドラゴン花火、そして極めつけは「パンパンパンパン!!」という鼓膜を破るような凄まじい音を立てる大量の爆竹と、ヒュルヒュルと空へ飛んでいくロケット花火です。
お盆の時期の墓地は、あちらこちらから上がる花火の煙と、火薬の独特の匂いが立ち込め、まるでお祭りの会場のような熱気と大音量に包まれます。 日が落ちて暗くなると、各お墓に飾られた色とりどりの提灯の淡い灯りと、パチパチと弾ける花火の鮮やかな光が交差し、非常に幻想的でありながら、どこかエネルギッシュな光景が広がります。
なぜお墓で花火をするのか?その歴史的なルーツ
では、なぜこのようなド派手なお盆の風習が根付いたのでしょうか。
その理由は、かつて出島を通じて海外との交易が盛んであった長崎という土地柄、「中国文化の強い影響」を受けているからだと言われています。 中国では古くから、旧正月や冠婚葬祭などの重要な行事の際に「魔除け」や「邪気払い」の意味を込めて、大量の爆竹を鳴らして盛大に祝う風習があります。この文化が長崎の仏教行事と見事に融合し、「お盆に帰ってくるご先祖様を、賑やかな音と光で歓迎してお迎えし、そしてお盆が終わる時には寂しくないように盛大に送り出す」という独自の供養のスタイルとして定着したとされています。 長崎市の伝統行事である「精霊流し(しょうろうながし)」で、耳栓が必要なほどの爆竹を鳴らしながら船を引くのも、全く同じルーツと意味合いを持っています。
ご先祖様と一緒に楽しむ、コミュニケーションの場

他県の人から見れば騒々しく思えるかもしれませんが、私たち島民にとって、お墓で花火の音を聞き、子どもたちの楽しそうな笑い声が響き渡る風景は、「あぁ、今年も家族みんなで元気にお盆を迎えられたな」と実感できる、非常に温かく平和な時間です。
お墓の周りでは、「あら、〇〇さん家のお孫さん、ずいぶん大きくなったねぇ!」「今年は暑かねぇ」と、お隣のお墓参りに来ているご近所さんや親戚同士で世間話に花を咲かせることもよくあります。 静かに手を合わせるのも素敵ですが、こうして家族や地域の人々が集まり、ワイワイと賑やかに笑顔で過ごす姿を見せることこそが、ご先祖様にとって何よりの喜びであり、一緒にこの場を楽しんでくれているのではないかと私は感じています。 ご先祖様との距離がとても近く感じられる、長崎・五島列島が誇る素晴らしいお盆の文化です。
五島の夏を満喫!エメラルドグリーンの絶景「高浜海水浴場」

さて、お盆休みといえば、お墓参りだけでなく、海や山でのレジャーも大きな楽しみの一つです。今年の夏も、子どもや友人たちと一緒にドライブへ出かけたり、青空の下でBBQをしたりする計画を立てており、今からワクワクしています。
8月の五島・福江島の海は、太陽の光を浴びて一年で最も美しい色に輝きます。私が休日のドライブコースとしてよく足を運ぶのが、島の北西部、三井楽(みいらく)町にある「高浜(たかはま)海水浴場」です。
「日本の渚・百選」に選ばれた、息を呑むような美しさ
高浜海水浴場は、福江島を代表する、いや、日本全国を見渡してもトップクラスの美しさを誇るビーチです。「日本の渚・百選」や「日本の海水浴場88選」にも選出されており、観光ガイドブックの表紙を飾ることも多い絶景スポットです。
車を停めてビーチに足を踏み入れると、どこまでも続く真っ白でサラサラの砂浜が広がっています。そして目の前に飛び込んでくるのは、透明度の高い水色から、エメラルドグリーン、そして沖へ向かって深いサファイアブルーへと変化していく、見事な海水のグラデーションです。 背後には緑豊かな山々がそびえ、自然が織りなす色彩のコントラストは、何度訪れても「本当にここは日本なのだろうか?」と感動してしまうほどの美しさです。 遠浅で波も比較的穏やかなため、小さな子ども連れの家族でも安心して海水浴を楽しむことができます。
海の家で味わう五島ご当地グルメ
高浜海水浴場でのもう一つの楽しみが、ビーチのすぐそばで営業している「海の家」での食事です。 海水浴でお腹を空かせた後に、潮風を感じながら食べるご飯は格別の美味しさですよね。高浜の海の家では、定番の焼きそばやフライドポテトだけでなく、五島ならではのオリジナリティ溢れるメニューが多数販売されています。
例えば、五島で獲れた魚のすり身をカリッと揚げて挟んだ「五島すり身バーガー」や、夏野菜がたっぷり乗ったスパイシーなカレー。そして、五島の特産品であり、ツルツルとした喉越しが夏にぴったりの「冷やし五島うどん」など、ご当地グルメが充実しています。 もちろん、火照った体を冷やしてくれるかき氷や、冷たいソフトドリンク、そして大人に嬉しいアルコール類もしっかりと揃っています。
最近では、砂浜にいながらスマートフォンを使ってネット(モバイル)から簡単にメニューを注文できるシステムも導入されているようで、炎天下で行列に並ぶことなくスムーズに食事が受け取れる便利な工夫もされているようです。 美しいエメラルドグリーンの海を眺め、パラソルの下で波音を聞きながらご当地バーガーにかぶりつく…これぞ五島の夏の醍醐味です。
高浜海水浴場 海の家
長崎県五島市三井楽町貝津
営業日:7月15日〜8月27日まで
営業時間:11:00~16:00(L.O15:30)
定休日:不定休
食を通じた異文化交流!ベトナム実習生と学ぶ本格エスニック料理

休日の海も最高ですが、仕事の日の日常にも小さな楽しみを見つけています。 少し話題は変わりますが、私は最近プライベートで「ベトナム料理」の調理を猛勉強しています。
もともと、外国の珍しい料理やスパイスを使った料理を作るのが趣味でした。ただレシピ本を見るだけでなく、できればその国出身の現地の人に直接作り方のコツや隠し味を聞いてから作るのが、私流のこだわりです。
私が勤めている農業法人「アグリ・コーポレーション」には、ベトナムからやってきた若くて元気な技能実習生たちが数多く働いています。彼らは毎日、言葉や文化の壁を越えて、一生懸命に農作業に打ち込んでくれています。 そんな彼らとの日々のコミュニケーションの中で、「ベトナムではどんな料理を食べているの?」「日本で買える食材で、どんな調味料を使えば現地の味に近づく?」と、休憩時間によく料理の話題で盛り上がっています。
ツルツル食感の牛肉フォーと生春巻きに挑戦!

実習生たちから教えてもらった現地の食べ方やおすすめの調味料(ナンプラーなどの魚醤の選び方など)を参考に、最近自宅で挑戦したのが、ベトナムの国民食である「牛肉のフォー(Phở bò)」と、たっぷりのハーブと野菜をライスペーパーで巻いた「生春巻き(Gỏi cuốn)」です。
フォーの最大の特徴は、その麺にあります。 日本のうどんと同じようにツルツルとした喉越しが楽しめますが、小麦粉をこねて作る五島うどんとは異なり、フォーの麺は「米粉と水」を練って作られています。そのため、うどんほどの強いコシはなく、少しモチッとしつつも歯切れの良い、非常に軽く胃に優しい独特の食感を持っています。
牛骨(今回は手軽に鶏ガラスープと牛肉のダシで代用しました)から丁寧に取った透明なスープに、ナンプラーの深い旨味とコク、そして八角やシナモンといったほんのり甘いスパイスの香りを効かせます。そこに柔らかく煮込んだ牛肉、たっぷりのモヤシ、玉ねぎ、そして爽やかな香菜(パクチーやミント)を乗せ、最後にライムやレモンをギュッと絞って完成です。

実際に作って食べてみると、ベトナム料理はタイ料理やインド料理などのような「口から火が出るような刺激的な辛さ」や「クセの強すぎるスパイス」が少なく、素材の旨味と爽やかな酸味を活かしたさっぱりとした味付けの料理が多いのだなと実感しました。お米文化という共通点があるからか、日本人の口や胃袋にも非常に優しくフィットする、親しみやすい美味しさです。
同僚からのトマトのお裾分けで、料理がさらに美味しく

この日作った牛肉のフォーには、スープの酸味と彩りをプラスするために真っ赤なトマトをトッピングしました。 実はこのトマト、会社の同僚がご自宅の家庭菜園で手塩にかけて育てたものを、「採れすぎたから」とありがたくお裾分けでいただいたものです。
スーパーで買った野菜も美味しいですが、顔の見える身近な人が育てた採れたての新鮮な野菜を使って料理をすると、その優しさや温もりがスパイスとなり、料理の味が何倍にも美味しく感じられます。 異国であるベトナムの伝統料理に、五島列島の太陽をたっぷり浴びて育った新鮮なトマトが完璧にマッチし、心も体も満たされる大満足の夕食となりました。こうした食材のやり取りや助け合いが自然に行われるのも、温かい人間関係が築かれている職場と島暮らしの魅力の一つだと感じています。
まとめ:五島の秋の味覚で、新たな多国籍料理への挑戦を夢見て

五島列島のお盆のド派手な「お墓で花火」の風習から、エメラルドグリーンに輝く高浜海水浴場での夏のレジャー、そしてベトナム人実習生との交流を通じて学んだ本格エスニック料理作りまで、私の五島での夏の日常をお届けしました。
ご先祖様を賑やかな爆竹の音で温かく迎え入れる文化も、眩しいほどの絶景を見せてくれる海も、そして国籍を越えて共に働き、美味しい食の知識を共有できる仲間たちの存在も、すべてが五島列島という土地が持つ素晴らしい財産です。
これから暑い夏が少しずつ過ぎ去り、季節が秋へと移り変わっていくと、いよいよアグリ・コーポレーションが誇る「有機安納芋」の本格的な収穫時期がやってきます。 極限まで甘みと蜜が詰まったねっとりとした安納芋は、焼き芋にして食べるのが一番美味しいのは間違いありません。しかし、料理好きの私としては、今年の秋はこの有機栽培された安納芋を食材として使い、実習生たちに教わった知識を活かして、ベトナム料理をはじめとする「外国料理・多国籍料理」への新たなアレンジレシピにチャレンジしてみたいと密かに計画しています。
五島の土と太陽が育てた甘いお芋が、エスニックなスパイスや異国の調理法と出会ったとき、一体どんな新しい美味しさが生まれるのでしょうか。今から想像するだけでワクワクが止まりません。 また美味しいレシピが完成したら、ぜひ皆さまにもご紹介できればと思います。
まだまだ厳しい残暑が続きますが、皆さまも体調には十分気をつけて、ご先祖様への感謝を忘れずに、それぞれの素晴らしい夏をお過ごしください!
編集部が実際に見て、食べて、飲んで!美味しかったものを厳選!ばらかもん、舞いあがれ!の聖地として有名になった五島市のふるさと納税返礼品のオススメはズバリこれ!
地元の人、旅行で福江島へ訪れる人、出張で福江島へ訪れる人、夕食と同じくらい昼食、ランチを食べるのに…福江島のランチ情報まとめがない。「五島商店 佐藤の芋屋」の「福江島のこと」の記事の中にも多数のランチ、ディナー情報の記事があります。この「福江島のこと」の「ランチ情報」だけ抜き出してスピンアウトしたのが、「福江島ランチーズ」なのです。
アグリ・コーポレーションでは、現在、事業拡大につき新しい仲間を探しています。地元(長崎県五島市)の方をはじめ、地元以外の移住者、移住を検討されてる方、未経験者、大歓迎です。募集職種、ご応募時の問い合わせFAQ等、詳しくは専用ページにて掲載しています。お問い合わせや質問等ございましたらお気軽にご連絡ください。











