芋焼酎はどんなさつまいもが使われているの?さつまいもの品種で変わる芋焼酎の味わい!約40種類以上のさつまいもの品種が芋焼酎に使用されているのです!

その数なんと40種類以上!芋焼酎に使われるさつまいもとは

芋焼酎の原料となり、その個性を形作るさつまいも。芋焼酎には昔ながらのずっしりとした癖の強いタイプもあれば、華やかでフルーティな香りが楽しめるものもあります。その個性は、麹の種類や使われている酵母、蒸留したときのどの部分を使うかといったことや、熟成するときにどのような容器でどれくらい寝かせているかでも違ってきますが、非常に大きな要素となるのがさつまいもの品種です。芋焼酎の原料となるさつまいもの品種の数は、なんと40種類以上にも及びます。芋焼酎を飲むときに、さつまいもの品種ごとの個性を知っていると、さらに芋焼酎を親しむのが楽しくなります。ここではさつまいもの品種ごとに、どのような芋焼酎が生まれるかを紐解いていきます。

黄金千貫

芋焼酎を語る上で絶対に外せない、一番メジャーな品種でもあるのが、この「黄金千貫」という品種です。1966年に生まれた交配品種で、皮が黄色く、中身は白いタイプのさつまいもです。1株の苗から千貫(4トン弱)ものさつまいもがとれることから、この名がついたと言われています。多産なだけでなく、他のさつまいもに比べるとでんぷんを多く含み、そのため蒸してでんぷんを糖化させると糖分が多くなるため、2次もろみを造る際にアルコールを生成しやすいのが特徴です。そのため芋焼酎を造るのに効率がよく、生まれてから長い間多く用いられてきました。また、アルコールを生むのに使い勝手が良いだけでなく、他のさつまいもと比べると、上品でふんわりとやさしい甘みのバランスが良い味わいの芋焼酎が生まれます。黄金千貫はでんぷんを多く含みますが、でんぷんの粒子が細かく、サラサラと舌触りも良いため、食用としても親しまれています。秋になり収穫期を迎えると、芋焼酎の仕込みとともに、鹿児島の家庭では黄金千貫の天ぷらが食卓に登場するようになります。ぜひ芋焼酎と合わせて楽しんでみたいですね。

ジョイホワイト

ジョイホワイトは芋焼酎を造るために生まれた交配品種のさつまいもです。名前の通り、皮も中身も白いさつまいもで、1994年に生まれた比較的新しい品種で、黄金千貫を上回るでんぷんを含むため、効率よくアルコールを造れるのが特徴です。また、害虫に強く貯蔵性も高いため、栽培しやすく収穫後の扱いが楽だというメリットもあります。ジョイホワイトで造られる芋焼酎の特徴は、フルーティな香りとすっきりとしたマイルドな呑み口。これまでのさつまいもとは違う、ライトでさわやかな味わいを楽しめる品種です。

紅あずま

食用のさつまいもとして作付面積が最も多く、焼き芋などで多くの人に親しまれている紅あずま。関東地方を中心に栽培されているさつまいものため、芋焼酎に使われているイメージがあまりないかも知れませんが、南薩で作られる紅あずまは、特に質が高いことでも知られています。いわゆるさつまいもらしい、赤紫色をした皮と明るい黄色をした中身で、ほくほくとした食感とほどよい甘みがあることで、食用として親しまれてきました。紅あずまを使った芋焼酎は、さつまいもならではの甘さやコクが感じられ、風味も豊かなものに仕上がります。

安納芋

近年、スイーツや焼き芋として、絶大な人気を誇るさつまいもとして知られるのが安納芋です。種子島特産のさつまいもとして知られる品種で、品種を細かく分けると4種類ほどの系統があります。安納芋は登録品種だったことから、種子島以外での栽培は認められていませんでしたが、2013年に栽培の制限が解け、日本各地で育てられるようになりました。ねっとりとした食感と、蜜のような甘さがあることで一躍人気となり、今ではコンビニスイーツなどでも楽しむことが出来ます。安納芋を使った芋焼酎は、甘い香りと深い味わい、しっかりとしたコクのある濃醇なタイプのものになるのが特徴です。

綾紫

綾紫は名前の通り紫芋の一種で、これまでのさつまいもの中でも、紫色の色素が多く含まれ、1999年に品種登録されたさつまいもです。皮も中身も紫色をしていて、ポリフェノールの一種として知られるアントシアニンが豊富に含まれています。芋焼酎の2次もろみに使用すると、鮮やかな赤紫色のもろみが出来上がり、それを蒸留すると、ライラックのような華やかな香りと、ライチを思わせる甘みを感じるなめらかな口当たりの芋焼酎が出来上がります。

使われているさつまいもの品種で決まる芋焼酎の個性

ここまで芋焼酎に使われるさつまいもの品種を少しだけご紹介しました。芋焼酎に使う品種はまだまだたくさんあり、焼酎蔵によっては新しい品種のさつまいもを積極的に導入しているところもあります。芋焼酎の個性を生み出す上で、他のさまざまな要素と同様に、使用するさつまいもの品種はとても重要なものです。芋焼酎を購入する際や、贈り物にするときなど、ぜひどんな品種が使われているのか確認してみてください。きっと今までとは違う味わいの芋焼酎と出会うことが出来ますよ。