知っているようで知らない!芋焼酎は蒸留酒!2種類の蒸留器による2種類の蒸留方法で造る芋焼酎!さつまいものはいったもろみを使う美味しい蒸留酒なのです!

芋焼酎は蒸したさつまいもの入ったもろみを使う「蒸留酒」

アルコール分の高いお酒としても知られている芋焼酎ですが、芋焼酎がどうやって造られるかご存知でしょうか。米麹を使って蒸したさつまいもに水を加えたものを発酵させ、2次もろみを造るのが、仕込みの第一段階であることを、発酵についてのページで触れていますが、そのもろみを蒸留器で熱し、蒸留したものが芋焼酎になります。蒸留と一口に言っても、どういう機械を使ってどうすれば芋焼酎が造れるのか、イメージするのはなかなか難しいかも知れません。今回は芋焼酎を造る上で非常に大切な工程でもある「蒸留」について解説していきます。

2種類の蒸留器による、2種類の蒸留方法で造る芋焼酎

さて、蒸留といってもいろいろ種類があります。その種類について紐解いていきましょう。

蒸留器の種類で芋焼酎の味が変わる

蒸留器の種類を説明をする前に、まず、そもそも蒸留ってどういうことなのかを最初に解説しましょう。蒸留は、液体を熱して湯気になった蒸気を、冷やすことでさらに純度の高い液体にすることをいいます。基本的にはアルコール度数を高くするために行われるのですが、水とアルコールは沸点が違い、アルコールのほうが沸点が低いため、アルコールだけを蒸発させることが可能なのです。そのため、蒸したさつまいもと水を加えて作る2次もろみを熱すると、2次もろみに含まれるアルコールだけを集めることができ、純度の高い芋焼酎を得ることが出来るのです。さらに、単式蒸留器と連続式蒸留器という、2種類の蒸留器があります。

単式蒸留器とは

単式蒸留器はウイスキー工場などで見かける「ポットスチル」と呼ばれるもので、蒸留器の中に入れたもろみの分だけが蒸留されるシンプルなものです。もろみのアルコール度数の3倍程度の度数をもつ蒸留酒を造ることができます。芋焼酎の場合、さつまいものでんぷんを蒸すことで糖分に変わったものを、酵母が食べて分解することで、2次もろみにアルコールと炭酸ガスが生まれます。2次もろみのアルコール度数は18度程度。そのため、単式蒸留器で蒸留すると、50度を超えるお酒が出来ることになります。出荷するときは水を加えて、アルコール分を調えてから瓶詰めされるのです。主に「乙類焼酎」に分類される芋焼酎が単式蒸留器で造られます。

連続式蒸留器とは

もうひとつの連続式蒸留器は、「パテントスチル」と呼ばれる蒸留器で、効率よく高いアルコール分のお酒を造るためのものです。簡単に説明すると、ひとつの大きな蒸留器の中に、たくさんの単式蒸留器があることをイメージしてもらうとわかりやすいかも知れません。2次もろみを連続式蒸留器に入れると、沸騰したものを冷やしてアルコールを得て、さらにそれを蒸留して、もっと高い度数のアルコールを造る、という仕組みを繰り返すようになっています。2次もろみを入れるのも1回だけではなく、何度も繰り返し入れることが出来、蒸留器の中で繰り返し蒸留が行われているため「連続式蒸留器」という名前になりました。連続式蒸留器で造ることのできる芋焼酎のアルコール度数は90度程度。効率は良いですが、何度も2次もろみを蒸留し続けるので、さつまいもの持つ個性的な香りや味わいは削ぎ落とされ、クリアでクセのない味わいの芋焼酎ができあがります。主に「甲類焼酎」に分類される芋焼酎が連続式蒸留器で造られます。

単式蒸留器を使った2種類の蒸留方法とは

連続式蒸留器を使うよりも、さつまいもの味わいや香り、旨みがしっかりと残る単式蒸留器を使った焼酎造りには、さらに2種類の蒸留方法があります。それは、常圧蒸留と減圧蒸留という方法。原料のさつまいもの持つ、どういう味わいや香りを出したいかで、焼酎蔵では蒸留方法を選びます。

常圧蒸留とは

常圧蒸留は古くからある蒸留方法で、その歴史は500年ほど前に遡ります。2次もろみを蒸留器に入れてから、90~100度程度で熱してアルコールを抽出します。この方法では、原料となるさつまいもの持つコクや旨み、さつまいもならではの香りや味わいをしっかりとアルコールに残すことが出来ます。さつまいもの良さを引き出すことが出来る、昔ながらの蒸留方法です。

減圧蒸留とは

減圧蒸留は1970年代に広まった蒸留方法で、蒸留器の中の空気を抜くことで蒸留器内の気圧を下げ、アルコールの沸点を下げて芋焼酎を抽出する方法です。この蒸留方法が生まれたことで、短い時間で量を造ることが可能になったことから、焼酎そのものが全国区になるきっかけにもなりました。蒸留器の中の気圧が下がったときの、アルコールの沸点は40~50度程度。温度が低い分、時間をかけることなく芋焼酎を造ることが出来るようになったのです。2次もろみが低い温度で沸騰することから、常圧蒸留で造る芋焼酎と比べると、さつまいもの香りや味わいがソフトな感じに仕上がります。また、雑味も少なくすっきりとした、モダンな雰囲気の芋焼酎が生まれます。

蒸留方法を知ることで、自分好みの芋焼酎が選びやすくなる!

芋焼酎にはさまざまなタイプがあり、さつまいもの香りが強く、ずっしりとした昔ながらの雰囲気のものから、華やかでやさしい香りのするマイルドで洗練されたものまで、とてもバラエティが豊かです。例えば乙類焼酎であれば、常圧蒸留と減圧蒸留の、どちらのタイプが自分の好みかを知ることで、今までどれを買うべきか迷っていたり、いつも同じ銘柄ばかりを手に取っていた人でも、未体験のおいしい芋焼酎に、新たに出会うことが可能になるのです。乙類と甲類だけでなく、その両方の良さを兼ね備える「甲乙混合」という分類もあり、自分好みの芋焼酎は意外なところから見つかる可能性もあります。ぜひ蒸留方法を覚えて、さつまいもの魅力がギュッと詰まった、好みの芋焼酎を見つけてくださいね。