五島列島(福江島)に農業ベンチャーを立ち上げた社長が読んでいる本とは?オススメの本は「流山がすごい」という本です。リーダーシップ論にも通じて現在の農業の問題点にも

「流山がすごい」大西康之

まず、なぜこの書籍が気になったかというと五島は年間800人の人口減少が起きている。日本全体が少子化傾向であるが、総人口35,000人の五島にとって毎年800人の減少は大きな問題である。一方、五島は全国的にも珍しい社会増の市町村でもある。社会増とは流出人口と流入人口で流入が多く、少子高齢化で総人口は減っているが、移住者支援の充実もあり人気の離島地域である。人口の減少の問題で難しいことは、何が問題で人口がへっているか国別・地域別によって違うことにある。原因の特定が難しい。

私は五島は、魅力的な島だと思えるようになってきていて、心の片隅で人口が増えてほしいと思い、まだ小さな力しかないが、少しでも役に立てることがないか、いざ必要になった時に必要な力・知識が備わっていたいとおもいっているので読んで感想を書きたいと思う。

流山がすごいっていうのは、直近20年間で人口15万人から21万人に人口増を達成していることを意味しています。一通り読んでみて10年ほど前の日経新聞の新聞の記事を思い出しました。新卒に求める能力は何か。採用担当者レベルではなく、経営者レベルの方への質問のトップが「リーダーシップ」。これは40年前に新卒に求められる内容と一致してたようです。つまりいつの時代もリーダーシップをとれる人材が求められていることを思い出しました。

千葉県流山市の人口減対策はいつ始まったのか。1983年の秋元元市長が祖になります。このころにつくばエキスプレス(TX)が開通する鉄道案件が浮上し、時の内閣総理大臣である田中角栄氏に毎週東京まで直談判を始めたことが対策の始まりだったようです。当時の鉄道はお金がかかり国益にはなりにくく、高速道路を進めていた時代だったようで、最初は、けんもほろろにされたが、流山に鉄道をもってくることの「利」と「義」を何度も陳情し、開発まで至ったようです。その後、アメリカのヒューストン帰りのデベロッパーを専門職とする井崎元市長が街づくりを担った感じです。秋元元市長が長期的な視点で流山市のことを考えていたこと。そして、市長になるなんて夢にも思っていなかった井崎元市長がこのままでは良い街にはならない、よくするためには、自分が市長になって街づくりを先導すると決め、その能力を有していたこと。この2点が大きかったと思います。

まさに、リーダーシップですね。正しいことをするのって簡単じゃないんですよね。会社を経営していても社長が指示すればその通りになることなんて少ししかなくて、スタッフや利害関係者が理解してくれることも極めて少ない。その中で、絶対にこれはやったほう良い、やるべきなんだと突き進める力とか説得する熱量、引っ張っていく意思が必要になってくる。また、そういったことはすぐには効果がでないことが多いから止めてしまうことが多い。止めたほうが良いかなーって理由が無限に見つかるから諦めちゃうんですよね。

たぶん、流山市の人口増をネットで調べたら「送迎保育ステーション」「保育園の充実」「有機野菜と福祉施設」「鉄道」「企業誘致」が出て来ると思います。流山市のような強いリーダーシップをもった市長がいてはじめて、保育園の改善とか企業誘致とか、理解してくれる市議が巻き込まれてというか?、引き寄せられて結果がついてくるという感じですね。会社の経営と似てるなーと思いましたね。つい最近、どこかの市町村で子育ての充実を一番にしようと言っていた最中、100歳になったら10万円の祝い金がある制度を廃止できず継続になってた市町村があったけど、まさにその問題で、既得権とか既存の制度を正しく壊す、止めるって思っている以上に難しい。どの市町村も保育園の改善ってわかってるし、企業誘致したほうが良いのはわかってるけど、わかってる人を集める能力や努力、やりきる意思がないだけ。目の前の仕事、あえて厳しく話すなら作業を行っているだけ。市役所とか県庁に勤めている人って能力高い人が多いのに、町が良くなることに対する仕事をダイレクトにさせてもらっていない感じかなーと思っています。

農業の話

農業も、栽培したい野菜、栽培しやすい野菜、昨年も同時期に栽培していた野菜をとりあえず作るとなっています。農家側もそれでは成長しない、じり貧と分かっているけど止められない。それで販売するJAとか市場、行政に文句を言う。日本の農業の本質的な問題点は別にありますが、トレンド的な話でいうと、カット野菜やレトルトカレーに使用される業務用の野菜は完全に外国産に負けてる状況。値段も量も色々ありますが、何にしても外国産に負けてるから全体的な取引量が少なくなっており、行き場のない野菜が市場に大量に集まって更に安くなるという感じです。この問題は農家だけにあるのでは無くて、各農家の野菜の美味しさ、差別化できる部分を長崎産、茨城産と一括りにして、本来JAや市場がもつべき機能を発揮していないもの原因の一つ。何にしても悪い状況がずっと続いている。

弊社はその問題点に気が付き「有機栽培」「ベビーフード」「一次加工」へ舵をきって、今のところは順調に進んでいますが、常に短中長の問題点を洗い出して成長する意思をもってないと、簡単に取り返しのつかない状況になると思っています。

まとめ

心に刻んだキーワード

・圧倒的当事者意識

→批評家にならず当事者になる。何事も自分事と受け止め、自分に何ができるかを考える

2023年度のアグリコーポレーションのスローガンにしました。

知識として得た言葉

・アーバンプランナー

→日本の都市開発はデベロッパーが作って終わりだが、アメリカはマンションや商業施設をつくるデベロッパーと地域住民の間にアーバン・プランナーと呼べれるコンサルタントが入り、双方の利害を一致させる人をいう。ヒューストン帰りの井崎元市長はこの仕事をしていました。