さつまいもの芋焼酎はそもそもどんなお酒?芋焼酎は知ってるけど、どうやって造るの?芋焼酎の造り方を知って芋焼酎を選ぶコツ、楽しみを知ろう!

普段飲んでいる芋焼酎が、どうやって造られているかご存知ですか?さつまいもを使って造っているのは知っているけれど、細かいことはよく知らないという方も多いのではないでしょうか。造り方を覚えると、普段の芋焼酎の選び方に差が出ます。ぜひ覚えておいしく芋焼酎を楽しみましょう。

芋焼酎はそもそもどんなお酒?

お酒にはさまざまな分類がありますが、どんなカテゴリーに入るのでしょうか。芋焼酎は、さつまいもを原料にアルコール分を含んだ液体を造り、それを蒸留することで出来上がる「蒸留酒」と呼ばれるもののひとつです。分類としては、ウイスキーやウォッカ、テキーラやブランデーなどと同じ分類になります。

芋焼酎はアルコール度数が20度~25度と、ウイスキーやブランデーなどと比較するとアルコール分は低めで、さつまいも由来の香りや味わいを、水割りやお湯割りなどにして食事とともに楽しむ、世界ではあまり例のない蒸留酒です。

1本の芋焼酎をさまざまな飲み方で楽しめることを考えると、とても多様な魅力のあるお酒なのです。

さつまいもから造る「芋焼酎」は鮮度が命

芋焼酎はさつまいもと水、麹から作った「もろみ」を蒸留することで出来上がるお酒です。同じようにもろみを作ってから蒸留するお酒には、麦焼酎や米焼酎などがありますが、原料となる穀物が水分を含んでいないため、貯蔵してからもろみ作りをすることができます。

しかし、さつまいもは水分を含んだ野菜で、イモ類のなかでも傷みやすいのです。そのため、芋焼酎を造るときは、前日か当日の朝に収穫をして、土がついたまま焼酎蔵へ運び、焼酎蔵についてからきれいに土を洗い流します。

そして、人の目で、さつまいもに傷んだところがないかをひとつひとつ見ながら選別します。選別が終わったさつまいもは両端を切り落として、傷んだり変色したりしているものはその部分もきれいに切り落とします。

さつまいもは、傷んだところがあると、そこから抗菌性の物質が分泌される性質があり、それが臭みのもとになってしまうため、ていねいに選別とカットをするのです。丹精込めて育てたさつまいもに、多くの人の手間がかかっておいしい芋焼酎が出来上がるのですね。

芋焼酎の味の決め手になる、2種類の蒸留方法

芋焼酎を購入するときに、ラベルをよく見ると「焼酎乙類」「焼酎甲類」といった記載があるのに気が付きます。

甲類と乙類の2つの違いは、芋焼酎の蒸留方法の違いによるものです。

甲類に分類される焼酎

甲類に分類される焼酎はもろみを蒸留するときに、「連続式蒸留機」というもので蒸留が行われ、乙類に分類されるものは「単式蒸留器」でもろみを蒸留したものをいいます。

連続式蒸留機は比較的新しい技術から生まれたもので、1900年頃に日本では取り入れられるようになりました。連続式蒸留機はその名の通り、連続的に蒸留を行えるもので、さつまいもで作ったもろみから、短い時間でアルコールを抽出することが出来ます。

そのため、大量生産の焼酎によく使われています。

繰り返し蒸留されることもあり、さつまいも特有の味や香りはそれほどせず、雑味がなくスッキリとした味わいの焼酎が出来上がります。

また、原酒のアルコール度数も36度未満と、少し低めのものになります。

乙類に分類される焼酎

一方、乙類の焼酎は、昔ながらの単式蒸留機で造られる、原酒のアルコール分は45度以下のものをいいます。そのなかでも、酒税法で決められた条件をクリアしたものは「本格焼酎」として販売されます。本格焼酎と呼ばれるものは、さつまいも由来のゆたかな香りと重厚な味わいがするものが多いのが特徴です。

単式蒸留機の歴史は非常に古く、メソポタミア文明の頃まで遡るのだといいます。

日本に単式蒸留機を使用した焼酎造りが伝わってきたのは15世紀半ばのことなのですが、連続式蒸留機が伝えられるまでは、焼酎はすべて単式蒸留機で造られていました。単式蒸留機での蒸留は、連続式蒸留機に比べると時間がかかり、大量に焼酎を作るのには向いていません。

しかし、さつまいもがもつ本来の味わいや香りを引き出し、特徴のある個性的な芋焼酎を生み出すことが出来ます。

もろみが蒸留されるまでの製造工程

さて、蒸留の仕方とそれで出るお酒の違いはわかりましたが、実際に蒸留器にかける「もろみ」とはどんなもののことを言うのでしょうか。

単式蒸留の場合を例にとって説明をしていきましょう。

まず、収穫したさつまいもをきれいに洗浄してから選別し、両端と傷んだ部分などを切り落とします。そのさつまいもを蒸して、蒸しあがったものを粉砕機にかけて細かくします。それと並行して製麹(せいきく)という作業をします。蒸したお米を冷ましたものに麹菌をふりかけ、米麹を作るのです。お米は冷めているとはいっても、35℃位あるので、麹室に人が入って蒸したお米に麹菌が行き渡るように返す作業をするのは大変な作業です。

芋焼酎の場合、それぞれのさつまいもに合わせて、白麹、黒麹、黄麹と3つの麹を使い分けるのが一般的で、麹の種類によって味わいも変わります。

そして、まず米麹、水と酵母を合わせたものをタンクや甕壷に入れ、1次発酵が進むのを待ちます。1週間ほど発酵させて1次もろみが出来上がったら、そこに粉砕したさつまいもと水を加えて混ぜ合わせ、2次発酵を行います。

2段階で発酵を行うことで、香りの良い芳醇な芋焼酎が生まれます。

ちなみに、なぜお米で麹を作るかというと、さつまいもは水分が多くて傷みやすいため、麹菌がしっかりと育ちにくいためです。しかし最近では「全量芋」といって、さつまいもを使って麹を作る焼酎蔵も出てきました。さつまいもを使った麹を使った芋焼酎は、米麹を使ったときとは違い、さつまいもの濃厚な味わいを楽しむことが出来ます。

もろみから酒へ……蒸留して初めて生まれる芋焼酎

2段階で発酵を終えたもろみは、蒸留器に入れられ、熱せられます。蒸留器に入れられて熱せられたもろみは、蒸留器の中で蒸気となり、その蒸気を冷やすと再び液体に戻ります。もろみに含まれている水とアルコールは沸点が違いますが、この差を利用して、水とアルコールを分離させるのです。そうして1滴ずつ落ちてくるアルコールを集めたものが、私達が日頃親しんでいる芋焼酎です。

厳密に言うと単式蒸留にも種類があり、常圧蒸留と減圧蒸留という違う気圧で行う蒸留方法がありますが、それもまた芋焼酎の味わいの個性を作っています。

ゆっくりと眠らせて目覚める時を待つ「貯蔵」という時間

芋焼酎は、蒸留されたばかりの原酒のときは、炭酸ガスが少しですが含まれています。そのため、そのまま飲むと荒々しい感じがしますが、ゆっくりと貯蔵して寝かせることで炭酸ガスが落ち着き、芋焼酎が本来持っているさつまいもならではの味わいや香りが姿を表すようになります。

貯蔵は短いものでも1~3ヶ月、長いものになると数年単位で「熟成」され、尖って感じたアルコール分がまろやかに変わったり、華やかな香りが出てきたりします。熟成された原酒は、酒質が一定になるようにすべてのタンクや甕壷のものを合わせ、水を加えてアルコール度数を調整していくのです。

まとめ

上記のような工程を経て、ようやく芋焼酎として出来上がり、瓶詰めされて皆さんの手元に届くのです。たくさんの手間をかけて出来上がる芋焼酎を、おいしく楽しく味わいたいですね。みなさんも焼酎ができるまでの知識をもって、自分にあったおすすめの芋焼酎を見つけてみてください!