農家にとって深刻な問題とも言える「野生鳥獣被害」を教えます。鳥獣被害額はどれくらい？年間200億円！？五島市（福江島）にはどんな野生鳥獣がいる？鳥獣対策とは？

五島市（福江島）は離島で、長崎市から約100ｋｍの離れている孤島です。農業生産は畜産と畑作のバランスがよく、肉用牛や野菜などの主幹作物の他、葉たばこなどの工芸作物の生産も盛んです。また、いも類も生産されており、サツマイモから作られる「かんころもち」が特産品として有名です。そんな五島市（福江島）にどれくらい野生動物がいるのか。その野生動物がどんな被害を及ぼすのか。全国の野生鳥獣による農作物被害額は年間200億円！意欲減退、耕作放棄・離農の増加、生活圏への出没など影響は大きいのです。

五島市（福江島）の鳥獣被害はいくらでしょうか？

それは、年間1,000万円です。ただし、この数値が正しいかというと全く正しくありません。なぜなら、報告する農家が少ないからです。個人の農家は市役所や関係機関に報告をしません。会社経営をしていたり、若者はＰＣやＳＮＳといったデジタルツールを利用するのが当たり前ですが、ＦＡＸすらない個人農家が多いためです。最近では、関係機関からメールでのお尋ねが増えましたが、メールがない、メールを使用していない為に情報を吸い取る土台ができていなので被害額の現状を表すことができないのです。報告される被害額は1,000万円ですが、おそらくその10倍ぐらいあると、個人的な感想を述べておきます。

五島市（福江島）にどんな野生鳥獣がいるのでしょうか？

代表的な野生鳥獣はシカ、イノシシ、カラスです。私が五島に移住した12年前はイノシシはいませんでした。

イノシシはもともと戦前までに絶えたとされていたが、10年ほど前に福江島で再び目撃情報が届き始めた。60年以上目撃されず、もともといた個体の子孫が生き残っていたとは考えにくいため、近年のイノシシによる被害の増加は海を渡って侵入してきた個体が増加、生息域を拡大してきたことが原因ではないかと推測される。

引用：独立行政法人 農産畜産業振興機構より

代表的な野生鳥獣のほかに、タイワンリスやキジ、うさぎ、ひよどりも五島には生存しています。

鳥獣被害の内容は？

アグリ・コーポレーションが五島市三井楽町で被害にあった内容は

• 鹿　ブロッコリー、大根の葉っぱ、背擦り行動による芋の畝の被害。※背中をこすりつける行為を背擦り行動という。所説あるが、背中の痒みによる衝動やなわばり行動。
• イノシシ　雑食なのでなんでも食べます。芋は食べる、ブロッコリーは食べる、サトイモ、大根などいろいろやられました。
• キジ　カボチャを固いくちばしでつつかれる。決して中味は食べない。つつくだけ。
• ひよどり　干し芋。ちょうど乾燥される間際の食べやすい時期に、ハウスの隙間からはいってきて食べる。

鳥獣被害から守る対策とは？

それぞれの対策は何があるのか。アグリコーポレーションの対策をお伝えすると、

• 鹿、イノシシ　被害のある畑に鉄柵でぐるっと一周囲む対策を2021年にしたところ被害は全くなくなりました。野生鳥獣の特性として、同じ畑に同じ時期にくるのがわかっているので被害のある畑を重点的に対策することが大事。しかし、体が小さなイノシシの子ども「うりぼう」は鉄柵の下をくぐってテケテケやってきます。可愛いけど・・・。箱罠も正しく設置すると効果的。アグリコーポレーションは一頭捕獲しました。
• キジ　カボチャの栽培をやめたため対策することなく終わりましたが、キジによるカボチャの被害は極小ため気にするレベルでない。一つの畑に1～2個ぐらいの被害なので。
• キジ　ハウスの周りに網をかけて、物理的にはいれなくしました。

失敗事例をあげると

にんにくを畑の周りにぶら下げて匂いで撃退は効果なし。数日間しか効きません。雨風でにおいは消えるのと、野生鳥獣がその匂いに慣れるため。ホームセンターでよく販売されているが懐疑的です。あとは、カラス対策におどしを設置しても効果は長くて1日と研究結果が発表されている。このように正しい対策をしてこそ、被害は軽減されるが、アグリ・コーポレーションの鉄柵も効果は間違いなくあるが、根本的には対処療法である。鹿・イノシシの数を減退させない限りイタチごっこです。

最後に

農産物に対する被害ではないのですが、アグリ・コーポレーションのSweetPotatoLabo（食品工場）の半屋外にある作業場にスズメの巣が７つ作られていた。天敵である蛇もやってこれない最高の場所に巣をつくっていた。

残念ながら、スズメの糞の被害があり、すべて鎌田隊長と藤原副隊長により撤去しましたが、明朝に巣がなくなったスズメのチュンチュン鳴く鳴き声が泣き声に聞こえたのは心が痛かったです。