さつまいも愛で地域活性化に挑む新谷梨恵子氏の講演は、多くの心を揺さぶりました。JA主催「フレッシュミズ全国交流集会」で、新谷氏は、6次産業化や地域での挑戦を自らの経験を交えて熱弁。コロナ禍での苦難を乗り越え、新潟で独自商品を開発し、地道な努力を続けたストーリーは、参加者の多くから共感を呼びました。参加者たちに新たな視点と勇気を提供する講演の背景には、情熱と失敗への挑戦がありました。本記事を最後まで読み進めると、フレッシュミズ全国交流集会で講演をされた新谷氏のエネルギーと情熱があなたの心も動かすはずです。
フレッシュミズ全国交流集会
10月24日、東京で開催されたJA主催の「フレッシュミズ※1全国交流集会」にて、株式会社農プロデュースリッツの代表取締役、新谷梨恵子氏(以下、新谷さん)を講師にお迎えし、講話とグループワークが行われました。この日は特に楽しみにしていました。なぜなら、新谷さんはさつまいも好きで有名で、メディアでも注目されている方だからです。
新谷さんは2018年にTBSの「マツコの知らない世界」にさつまいもマニアとして出演し、さつまいもブームを巻き起こしました。私自身も当時この番組を視聴し、その強いさつまいも愛が印象的で、インスタグラムのフォロワーにもなりました。その後、新谷さんが新潟県小千谷市でさつまいもを通じた町おこしに取り組む姿が、家の光2023年9月号で特集されているのを見て、改めて注目しました。現在は、新潟県でさつまいもを生産し、加工販売店「さつまいも農カフェきらら」を経営するほか、2023年には農林水産大臣賞や内閣総理大臣賞を受賞するなど、大きな注目を集めています。
今回の集会で新谷さんをお招きできたのは、実行委員会のメンバーの一人が新潟県で農業を営み、新谷さんと親しい間柄であったことがきっかけでした。講演依頼はすぐに快諾され、講演当日も新谷さんの熱心な話に注目が集まりました。
講演当日は、さつまいものモチーフのイヤリングをつけて会場に向かいました。会場に到着した新谷さんにご挨拶をしに行きました。すると私が声を発する前に「あーっ!私と同じイヤリングしている人がいるー!」と叫び声に近い声で新谷さんのほうから話しかけてくださり、気づいてくれたことが嬉しくて涙が出そうになりました。
講演の様子は?
いよいよ、講演が始まりました。最初の自己紹介から始まり、終始賑やかな講演で、とにかく飽きさせない!新谷さんはいろいろな品種のさつまいもを農園で生産し、焼き芋やスイーツにしてさつまいも農カフェきららで販売。新潟といえばお米というイメージがありますが、そこにさつまいもを新たに加えた感じです。自分の大好きなさつまいもで移住先の小千谷を盛り上げるために尽力もされ、焼き芋の上に地元でも希少なガンジー牛乳使用のソフトクリームを乗せた商品が「マツコの知らない世界」で人気商品になったそうです。「どうしたら「マツコの知らない世界」に出れますか?」という質問には、「とにかくいろんな人に「マツコの知らない世界」に出たいと言い続けました。」するとテレビ局からオファーがきたとのことです。「とにかく一つのことにたいして変態になることです。好きを、趣味を仕事にすることは、周りから異常と思われても良いから変態になることなのです。失敗もしても良いのです。頑張り続ければつまづいた石にさえも感謝できる日が来るのです。」と熱く語る新谷さんに、会場の参加者は前のめりになって聞いており、必死にメモを取る人の姿も多数いらっしゃいました。
新谷さんにも苦難を避けられなかったのがコロナ禍でした。小千谷に来ないと食べられないものを作ってきたのに、人が移動できない世の中になってしまった。そこで色々試行錯誤し、EC販売用にいもポンソフトを開発。2つを別々に包装して送ることで家庭でも焼き芋の上にソフトクリームをきれいにのせて食べることができます。最初の年は売れました。しかし、翌年にはパタッと売上がストップしたそうです。しかし、宣伝活動を地道に行い、なぜ売れない?、それは単に商品を知らないから?、忘れられたから?と自問自答をするように周りにも伝え続けたそうです。焼き芋にアイスを乗せた商品は「世界初!」と豪語してまわったそうです。「世界初!は言ったもん勝ちですよ」と言って会場を湧かせました。
さつまいも愛だけじゃなく、6次化プランナーとして、他の規格外、行先に困っている野菜を救済すべく日々駆け回っていることを、事例を交えて話していただきました。6次化をやるかやらないか、続けるか続けないか、というのはこの会場の農家のお嫁さんにとっては大きな課題なのだなというのが、真剣に聞いている姿から見てとれました。
グループワークと懇親会
その後グループワークをしましたが、やはり3年後、5年後のことを書くのは難しいという来場者もいましたが、少しでも意識し、言葉にすることで夢に一歩近づけると新谷さんが話されていました。最後は、新谷さんも母親としての一面を見せ、「今では息子にくそばばあって言われ、イラッとすることもありますが、それだけ自分を犠牲にして子どものために頑張ってきたのだから、皆さんも自分のことを自分でたまには褒めてあげてください。この会場にいる方たちは、意志を持ってこの場にいるのですから、皆さん頑張っていますね」と締めくくり、そんな新谷さんの話を聞き、私の隣の人は号泣していました。
その後は懇親会にも新谷さんが参加していただいたので、ゆっくり御礼を言うことができました。アグリ・コーポレーションの安納芋バターをプレゼントすると、「これZIP!で水卜アナが食べてたバターだ!食べたかったの」と喜んでくれました。そして、最後に記念写真も撮り、今度は農きららカフェに行きます!と約束しました。今回の講演会は新谷さんのことを知らなかった参加者の心にも響いたようで大変好評で、自分の県にも講師として招きたいという声も上がったほどです。新谷さんのおかげで交流集会は大成功に終わりました。
新谷さんから後日ありがたいメッセージをいただきました
「本当に楽しくワクワクする時間をありがとうございました。過去イチの、講演会、懇親会でした!それくらい農業女性のキラキラしたオーラをガンガン感じました!仲間がいるって心強いですね。そんなみなさんに出会えて私も幸せでした。ありがとうございました!」
フレッシュミズとは?
※1フレッシュミズ(フレミズ)は、JAを主体とし、青年部と共に発足した50代~60代中心の女性部の後に、若い農家の嫁の集まりとしてできた、20代から概ね45歳までの女性メンバーの団体である。現在では専業農家だけでなく、兼業や、実家が農家をしているなど食と農に関心のある女性なら非農家でも誰でも入れるコミュ二ティである。