玉之浦地区
玉之浦地区といえば、五島の西南に位置していて大瀬崎灯台や頓泊海水浴場、小浦海岸から望む島山島の断崖などダイナミックな観光名所が数多くあります。
玉之浦という名称でもう一つ思い浮かぶのは紅色に白の縁取りが印象的な椿、その名も”玉之浦”。その姿は五島空港や福江港、ポスターなど訪れた人は色んなところで目にしますよね。五島市の市花は「ヤブツバキ」。椿は、赤や白、ピンクや花びらの形状など様々な品種の多い花です。”玉之浦”は昭和22年に七岳山で変異種として偶然発見されました。昭和48年に長崎市で開催された全国椿展で”玉之浦”の名で紹介されるとその美しさが話題となり、世界中の愛好家に知られる存在となりました。
提供:五島市
しかし…人気ゆえの枝や根などの乱獲により、原木は枯れてしまったそうです。それでは現在ではもう実物を見るのは不可能なのか?と思いネット検索してみると、普通に苗木が販売されているではないですか。挿し木や接ぎ木はクローン技術ですから、皮肉な事に売買という形で”幻の玉之浦”は生き残っていたのですね。すべてではないですが、人間の欲というものは・・と複雑な心境になりました。
さて、玉之浦地区は観光名所を多く持ちながら飲食店が少ない印象でしたが、昨年秋には旧平成小学校跡に「夢の駅」、今年の8月には井持浦教会の隣に「西端の邨(さいはてのむら)」がオープンし、ジビエ料理やカフェが出来るようになりました。
ちなみに井持浦教会は、日本で最初に出来たルルドのある聖地として、信者は全国から訪れるため大型バスの駐車場も完備されています。
西端の邨
今回は「西端の邨」カフェで美味しいカフェラテとコーヒーゼリーを頂きながら、オーナーの春日宣親さんと井関友美さんにお話を伺ってきましたよ。開店中はオレンジの幟が風にはためいているのが目印です。
カフェの入り口で、すぐ目につくのが大きな玉之浦のマップ。しばし眺めてみることをお勧めします。靴を脱いでスリッパに履き替えてから飲み物などオーダーをし、テーブルに座ります。 自然と右手の壁に鹿のトロフィーが飾られているのが見えます。
筆者はここのところ、9月末~10月初旬まで大瀬崎灯台で観測できる渡り鳥「ハチクマ」目当てで早朝の玉之浦に3回訪れていて、そのうちの2回は野生の鹿と間近で遭遇していたのです。そのことを思い出し、「五島の鹿ですか?」と尋ねたところ、罠猟で自ら捌いたとの事。ハンター兼、解体技術者でもあったのですね。
内心とてもどきどきしました。というのは、車道で鹿と出くわした時は、奈良の鹿公園みたいな観光気分でいたと思うのです。ジビエを頂くことはあっても、自分の中ではそれとは結びついてなくて、この時に初めて実感したのだと振り返っています。
ジビエは高たんぱく質、低脂肪、ミネラルもたっぷりの良質なお肉として知られています。臭みも感じられないのは加工の仕組みや技術の賜物だと思います。農地や森林を守るため、鹿や猪などの獣害対策は市をあげて行われています。ジビエを食することは命に感謝をし、生かしきる前向きな活動だと思います。お話によると、ライフル銃だと肉質が低下するので縄猟で行っている事や、1頭さばくには1~2時間かかり、(運ぶだけでも大変)数は予想できないから多いときには、夜中すぎまで作業にかかる事もあるそうです。体力と気力は只者では務まらないと思います。また、飾られている鹿のトロフィーは、角が4又に分かれているため、4才以上であることや、綺麗な左右対象に生えてるのでイケメン鹿だと教わりました。大抵、片方を使う癖があったりするので、左右どちらかに片寄っている事が多いんだとか。そういえば人間だって同じですよね。鹿同士の争いの跡が残った地面の状況をスマホ画面で見せてもらったり、貴重なお話を聞かせて頂きました。
カフェはオープンしつつ、内装はまだ改装途中のようでこれからの過程も楽しみですね。カフェの小上がりには、廃業した旅館から譲り受けた手彫りの手すりがリペアして利用されていて、歴史が引き継がれているのだなぁとしみじみと感じます。それも相まって、店内はまるでおばあちゃんちに遊びにきたような懐かしい雰囲気があり、なんとも居心地いい時間が過ぎていきました。春田さんからはご丁寧に名刺を頂き、「はしからぶるーいんぐ」の代表でもあることも知りました。こんな幾つものお仕事を同時進行でこなしていけるものでしょうか。クラフトビールの提供や、イベント出店などで五島では有名な存在で知られていますよね。さらには、ビールの原材料のホップの栽培にも手掛けているとか。これもまた、なかなか大変なチャレンジだと想像します。
西端の邨のロゴは「邨」のいう字の象形文字からアレンジして作られたそうで、その名前に込められた思いと、形にしていっているバイタリティーは素晴らしいと思います。Instagramの中で印象的な
西端(さいはて)の地に
観光・遊びに足を伸ばせて
生活に寄り添える
憩いの場を目指して
というワードに、この地で根を張り生きていくという意思と覚悟が伝わってきます。ぜひ玉之浦にお越しの際には、「西端の邨」にも足を運んでみてくださいね。不定休なので、カフェを訪れる際にもInstagramで確認されると安心です。
これまでの飲食店取材のなかで、お話の後の写真撮影で全敗している為、おそるおそる「お写真(の顔出し)は可能でしょうか?」と尋ねたところ、「大丈夫ですよ(笑顔)」とのお返事が…!こんな大事なタイミングなのにスマホが固まったりと、テンパりながらも無事に撮影させて貰えて、有難く思いました。
帰り際に、近くの御嶽山は景色が360度見渡せるのでお勧めですよと教えて頂きました。秋は木々も紅葉してくるので、トレッキングも良いですね。今日はサンダル履きだったので、しっかり装備を整えてまた出直したいと思います。女郎蜘蛛も多いので、枝などで前方を払いながら進むといいそうです。結構なアドベンチャー感がありそうですね。
御嶽山近くの隠れ人気スポットの白鳥神社も紹介したかったのですが、今回は収まりきれなかったのでまた今後「玉之浦編」第二弾としてお伝えしたいと思います!
西端の邨
長崎県五島市玉之浦町玉之浦1229-1
公式Instagramはこちら
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地元の人、旅行で福江島へ訪れる人、出張で福江島へ訪れる人、夕食と同じくらい昼食、ランチを食べるのに…福江島のランチ情報まとめがない。「五島商店 佐藤の芋屋」の「福江島のこと」の記事の中にも多数のランチ、ディナー情報の記事があります。この「福江島のこと」の「ランチ情報」だけ抜き出してスピンアウトしたのが、「福江島ランチーズ」なのです。
アグリ・コーポレーションでは、現在、事業拡大につき新しい仲間を探しています。地元(長崎県五島市)の方をはじめ、地元以外の移住者、移住を検討されてる方、未経験者、大歓迎です。募集職種、ご応募時の問い合わせFAQ等、詳しくは専用ページにて掲載しています。お問い合わせや質問等ございましたらお気軽にご連絡ください。