五島は平成の中頃からイノシシやシカによる農作物の被害が増えてきました。最初は上五島から始まり、少しずつ南下し、この福江島でも深刻な問題となっていました。イノシシがエサを求めて海を泳いで島を渡るという映像も確認されています。
お米や野菜を守るため、あちこちで電気柵が張られました。私のふるさと奈留島では、山からおりてくるイノシシをシャットアウトするため道路と山の境に柵を張り巡らしていました。イノシシが人を襲い大ケガをしたり、車に突進してへこんだりという人的被害もあったからです。狩猟の資格を積極的に取得し、1頭仕留めるごとに数千円、あちこちに檻のわなをしかけ生け捕りにすると少し高い金額を市から受け取ることができました。
五島にジビエの加工場も
生け捕りにしたものだけが新鮮なお肉として食べることができます。猟師さんからイノシシやシカの肉をおすそわけでいただいたこともありましたが、家庭で調理するのはなかなか難しいです。数年前、廃校を利用し、ジビエの加工場が初めてできました。しかし、価格が高く、スーパーではなかなか売れず、販路も展開できず、すぐ廃業になりました。やはり、五島牛や五島豚にはかなわないし、地産地消は厳しいものでした。報酬制度によって、イノシシは捕獲され尽くし、仕入れも難しくなってきたのももう一つの要因でした。やがて、イノシシやシカを撃って殺し、山に埋めて処分されることが多くなりました。そこに目をつけたのがその頃五島市玉之浦町幾久山出身で、東京からUターンを考えていた南さんという方でした。未経験にも関わらず、南さん自身が、裁き方を勉強し、地元の祭りでハンバーガーの販売しました。価格が高いにも関わらず、あっという間に完売。これは町おこしになると考えたそうです。玉之浦町は特にシカが多く目撃され、夜だけでなく、昼も我がもの顔で歩きます。そのシカ肉でより美味しいハンバーガーを作ろうと、玉之浦町の町づくり協議会のメンバーが、東京でスペイン料理家として活躍している栗原シェフを招き、レシピ作りをしました。
「ジビエバーガー」を名物に 駆除のシカ肉活用 五島・玉之浦の住民が開発
「ジビエバーガーを新たな名物に」。長崎県五島市玉之浦町の住民有志が、駆除したシカの肉を使ったハンバーガーの開発を進めている。11月、東京で活躍する料理人を招き、レシピ開発と試食会を開催。レシピを基に商品化し、来年1月中旬ごろから販売する予定。
引用:長崎新聞より
ジビエバーガーが食べられる「夢の駅」がオープン!
そうして完成したシカ肉100%のハンバーガーは、地元の憩いの場、鶴田商店で販売をしていました。そして、南さんが廃校を利用したお店を開業し、その後はそこで販売するようになりました。この記事を書いているちょうど今日8月20日が1周年記念だそうで、イベントがあったそうです!
先月その夢の駅に行ってきたのでご紹介します!
場所は、玉之浦町中須で、鶴田商店より気軽に行ける距離になりました。まだ記憶に新しい2019年に閉校した五島市立平成小学校の1階をそのまま利用しています。玄関には地元の人が作った野菜が格安で販売されていました。
リサイクルショップもやっているので家具や皿、衣類などいろいろなものがろうかや教室に置いてあります。先に手前の教室の中にある受付で注文と支払を済ませてから、隣の教室の窓際の席に座り食事をします。
メニューは季節によるのか、鹿肉のハンバーガー、ローストビーフ丼、焼肉丼の3種類のみでした。丼ものをどちらも注文し、ハンバーガーはテイクアウトにしました。元給食室だったところで女性の方が3人でせわしなく作っていました。
待っている間にリサイクルの品を見ました。トイレだけは改装しとても綺麗でそれ以外はそのまま残しています。ここでは、シカの角をペンダントやキーホルダーにする加工もやっています。
席は6席ですが、外の花壇にある椅子でも食べている人もいました。冷房はないのか扇風機のみなのが少し残念。でも自然の風が窓から入ってくるのを待っていると小学生の頃の真夏の授業をふっと思い出し、懐かしくなりました。そして料理が運ばれてきました。見た目は普通の牛肉のローストビーフや焼肉丼に見え、これで味噌汁付きで600円は安い!どちらも甘辛い味付けで歯ごたえがあるお肉はジビエとは思えないほど美味しかったです。ジビエは下処理さえきちんとしていれば臭みもなく美味しいです。子どもたちもおそるおそる初めてジビエの肉を食べていましたが、最後は慣れていました。生き物の命をいただくという食育にもなりますね。味噌汁もおふくろの味で美味しかったです!大満足でした。
家に帰ってからハンバーガーも食べました。ソースは3種類から選べ、お洒落な響きのレモングラスソースにしました。ソースの味がやや強すぎてお肉の味があまりしませんでしたが、これはこれでまた美味しかったです。
まとめ
全国的に、ジビエの料理教室が開かれるなど、他の県では少しずつ浸透してきている中、五島でも一度は立ち消えましたが、地元有志によってジビエ料理を復活させたこと、ジビエのお肉をハンバーガーにすることで、ジビエが身近に感じられるようになったのはとてもいいことだと思います。また、新メニューにも期待です。夢の駅はイベントでも出店し、ハンバーガーを販売しています。夢の駅は地元に恩返しがしたいという南さんの思いが詰まっています。
夢の駅
五島市玉之浦町中須676
090–9833-8076
営業時間 10:00~17:00
定休日 水曜日
公式サイトはこちら
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