焼き芋は、さつまいもの甘さや食感を最大限に引き出す調理法として、長年親しまれてきました。近年では、昔ながらの「ほくほく系」だけでなく、蜜があふれるような「ねっとり系」の焼き芋が定着し、専門店やコンビニでも当たり前の存在になっています。
なぜ、ここまでさつまいもは甘く、多様になったのでしょうか。その背景にあるのが さつまいもの品種改良 です。
この記事では、
- さつまいもの品種改良とは何か
- なぜ品種改良が盛んに行われてきたのか
- 現在人気のさつまいも品種の特徴
を、焼き芋視点を中心に、わかりやすく解説します。
さつまいもは品種によって、なぜ味や食感が違うのか?

安納芋、紅はるか、シルクスイート。
これらの名前を耳にする機会は、以前よりも明らかに増えました。
現在、日本で栽培されているさつまいもは 90種類以上 あるとされており、甘さ・水分量・色・食感は品種ごとに大きく異なります。この多様性の多くは、自然発生ではなく 人の手による品種改良 によって生まれてきました。
例えば、
- 甘みを強くする
- 水分を多く含ませ、焼いたときにねっとり仕上がる
- 病気や害虫に強くする
- 皮や果肉の色を変える
といった目的をもとに、長い年月をかけて改良が重ねられています。
現在主流となっている「甘くて焼き芋向きのさつまいも」は、偶然生まれたものではありません。
そもそも「品種改良」とは何か?

品種改良とは、異なる特性を持つ個体を交配し、目的に合った性質を持つ作物を選抜・固定していくことです。さつまいもの場合、
- 甘さ
- 食感(ほくほく・しっとり・ねっとり)
- 見た目
- 栽培のしやすさ
といった要素が重視されてきました。
特に近年は「焼き芋として美味しいかどうか」が重要な評価軸となり、糖度が高く、加熱時にデンプンが糖に変わりやすい品種が求められるようになっています。
なぜ、さつまいもの品種改良はここまで多いのか?

理由① 日本の食文化と深く結びついているから
さつまいもは、江戸時代以降、飢饉対策の作物として全国に広まりました。米が不作でも育ちやすく、人々の命を支えてきた歴史があります。そのため、安定供給できる作物として、国レベルで守り、改良を続ける価値があると考えられてきました。
理由② 品種改良に時間とコストがかかるから
さつまいもの新品種開発には、研究開始から完成まで 約10年 かかるといわれています。さらに研究費・試験栽培・品質評価などを含めると、莫大なコストが必要になります。このような背景から、さつまいもの品種改良は主に農研機構を中心とした公的研究機関が担ってきました。
品種改良によって得られた3つの大きな変化

① 甘さの進化
現在人気の紅はるかや安納芋は、従来品種と比べて糖度が高く、焼き芋にした際に強い甘みを感じやすい特徴があります。
② 食感の多様化
昔は「ほくほく」が主流でしたが、現在は
- ほくほく系
- しっとり系
- ねっとり系
と、好みに応じて選べるようになりました。
③ 見た目・色のバリエーション
果肉がオレンジ色や紫色の品種も増え、焼き芋やスイーツとしての見た目の魅力も向上しています。
人気のさつまいも品種を食感別に紹介
昔ながらの安心感|ほくほく系「紅あずま」

紅あずまは、関東を中心に長年親しまれてきた代表的な品種です。焼き芋にするとほくほくとした食感が楽しめ、天ぷらや煮物など幅広い料理に向いています。甘さは控えめですが、家庭料理との相性が良く、今でも根強い人気があります。
甘さと扱いやすさのバランス|しっとり系「紅はるか」

紅はるかは2007年に誕生した比較的新しい品種で、糖度の高さと、ほどよいしっとり感が特徴です。焼き芋はもちろん、スイートポテトなどの加工用途にも適しています。安納芋に匹敵する甘さを持ちながら、安定した品質で流通しやすい点も評価されています。
焼き芋ブームの象徴|ねっとり系「安納芋」

安納芋は、現在の焼き芋人気を語る上で欠かせない存在です。焼くことで内部のデンプンが糖に変わり、蜜があふれるようなねっとり食感になります。見た目のインパクトや写真映えもあり、若い世代からの支持も高い品種です。
まとめ|さつまいもの進化は品種改良の積み重ね

現在私たちが楽しんでいる甘くて美味しい焼き芋は、長年にわたる品種改良の成果です。
- 甘さ
- 食感
- 色
- 栽培のしやすさ
これらを少しずつ改良しながら、さつまいもは進化してきました。焼き芋がこれほど身近で、多様な楽しみ方ができるようになったのも、品種改良があったからこそです。スーパーやコンビニで手軽に買える今だからこそ、品種ごとの違いを意識しながら食べ比べてみるのも、さつまいもの楽しみ方のひとつと言えるでしょう。








