鹿児島県の特産でもあり、さつまいもを使って作られる芋焼酎。でも、芋焼酎に使われるさつまいものことは、意外と知らないのではないでしょうか。実は焼酎に使われるさつまいもは、日常的に食べられているものとは全く違う品種、さつまいもの品種を知ることで、芋焼酎がさらにおいしく楽しめるようになります。そこで今回は芋焼酎の種類とその特徴、さつまいもの種類などについて紹介したいと思います!
普段食べるさつまいもと、焼酎になるさつまいもの種類って違うの?
さつまいもというと、ベニアズマや鳴門金時のように、紫がかった皮をしたものを思い浮かべる人が多いのではないかと思います。
焼酎に使われるさつまいもは、じゃがいものような白っぽい皮をしているものが多く、他のさつまいもよりもでんぷんが多いのが特徴です。なかでも良い焼酎が造られることで知られているのが「黄金千貫」という品種です。
芋焼酎の大半は「黄金千貫」で出来ている
黄金千貫はじゃがいものような色をしたさつまいもで、切った断面も白っぽいさつまいもです。
農林省九州農業試験場で、チモール島の品種やアメリカの品種、そして日本の品種をかけあわせて作られたさつまいもです。育てれば、黄金色の芋がザクザクとれる、という由来から黄金千貫という名前が付きました。
実際、乾燥した暖かいところで栽培すると、黄金色がかった芋が取れるそうで、これが名前の由来にもつながっています。
芋焼酎といっても様々なものがありますが、焼酎造りに使われるさつまいもの大半が、この黄金千貫なのです。
黄金千貫は、適度な糖度とでんぷんに加え、焼酎にしたときに芳醇な香りが出ることから焼酎造りに重用されています。
黄金千貫、食べるとどんな味?
焼酎に使うとその個性が生きる黄金千貫ですが、食べることはないのでしょうか。
黄金千貫はでんぷんが多いために、火を通すと粉っぽさが目立つようになります。ホクホクしているというよりは、サラサラと粉っぽく、甘みもそれほど強くありません。蒸して裏ごしして砂糖を加えるような料理には使えるかもしれませんが、それなら他のさつまいもを使ったほうが良さそうです。
さらに、他のさつまいものように長期間保管ができないので、食用には向かないのだといいます。
ただ、天ぷらにするとおいしいため、さつまいもの収穫時期になると、黄金千貫も天ぷらにしてよく食べるのだそうです。黄金千貫の天ぷらを食べながら、芋焼酎を楽しんでみたいですね。
黄金千貫だけじゃない!芋焼酎に使われるさつまいもの品種
芋焼酎に使われるさつまいもの品種は黄金千貫だけではありません。
専用の品種だけでも40種類を超え、黄金千貫のように白っぽい皮を持つ品種だけでなく、私達が普段食べている紫色の皮をした品種ももちろんあります。なかでも良く知られているのは「ジョイホワイト」や「紅さつま」、「金時芋」などが挙げられます。
ジョイホワイトはこれまでの芋焼酎とは違ったバリエーションのものを作るために、品種改良によって生まれた「芋焼酎のためのさつまいも」です。
黄金千貫よりもでんぷんの量が多く、フルーティな味わいの焼酎ができるため、1994年に作出されてから、華やかな芋焼酎が造られるようになりました。病害虫にも強く、保存性も高いのが特徴で、焼酎蔵にとっては使いやすい品種だと言えるでしょう。
芋臭いだけが魅力じゃない?フルーティな吟醸香のする芋焼酎
芋焼酎というとその特徴とも言える芋臭さこそが魅力のひとつでもありますが、現在はさまざまなタイプの芋焼酎が造られています。日本酒で言うところの「吟醸香」の感じられるような、華やかな香りのものも増え、若い女性にも人気になっています。
さつまいも特有のクセを抑え、バナナやマスカット、ライチなどの果物を思わせる香りが感じられる焼酎も多く、バラエティ豊かな味わいを楽しむことが出来るようになりました。
なかでも「アヤムラサキ」や「ムラサキマサリ」のような紫芋を使って造られる芋焼酎は、甘い香りがして華やかで上品な印象のものが多いのが特徴です。また、「アヤコマチ」や「ハマコマチ」といった橙芋系の品種は花のような香りが強く出るのが特徴。
フルーティで甘みを感じるやさしい口当たりの芋焼酎が多いことから、普段芋焼酎を飲まない人へのプレゼントにも向いています。
なかには、「茜霧島」のように、専用の品種である「タマアカネ」を栽培し、独自の酵母を使用することでフレッシュなフルーツの香りやフルーティな味わいを楽しめるものも生まれています。
飲み方も今までのように、お湯割りや水割り、ロックといった飲み方だけでなく、ソーダ割りやカクテルなど、幅広い楽しみ方が出来るのも良いところです。
バラエティ豊かな個性を楽しめる芋焼酎をもっと普段の晩酌に
芋焼酎には、私達が普段食べるものとは違った種類のさつまいもを使うことで生まれる、特有の芋らしい香りが感じられる昔ながらの焼酎だけでなく、品種改良を重ねたことで、華やかでフルーティな芋臭さのないものも数多く生まれています。どんな品種を使っているのか調べて、好みの飲み方で楽しめば、芋焼酎の味わい方も幅が広がります。
ぜひいろいろな芋焼酎の中から好みのものを見つけてみてくださいね。