山口県周南市で五島うどんに出会う旅!地元に愛される名店「なかくら」の人情と絶品とんこつうどん

山口旅行の2日目、不思議なご縁に導かれて

前日の「芋フェス(小野田市)」の熱気と興奮が冷めやらない、山口旅行の2日目。

絶品焼き芋サンド

朝食は、昨日購入したお芋スイーツ専門店の絶品焼き芋サンドで手軽に済ませ、朝7時半にホテルをチェックアウトしました。この日の午前中は、今回の山口旅行で絶対に外せないと決めていた大自然の神秘、日本三大鍾乳洞の一つである「秋芳洞(あきよしどう)」の観光からスタートです。

山口駅からバスに揺られること約1時間。大自然の絶景を満喫した後、午後からは「ある特別な場所」で昼食をとるために、周南市(しゅうなんし)の小さな駅を目指して移動しました。
実は昨夜、ホテルのベッドで「せっかくなら、山口県内で私の故郷である長崎県・五島列島にゆかりのある場所はないだろうか?」とインターネットで検索していたところ、偶然にも驚くべきお店を発見したのです。

それは、五島列島の特産品である「五島うどん」を提供しているお店でした。しかも、お店の女将さんが、なんと私が現在住んでいる五島市岐宿町(きしくまち)のご出身だというのです。
「遠く離れた山口の地で、故郷の大先輩がお店を開いている。これは絶対にお会いしに行かなければ!」と、急遽旅行のスケジュールを変更し、ワクワクしながらお店へ向かうことにしました。

この記事では、午前中の秋芳洞観光のお得な情報から、周南市の小さな町で見つけた人情味あふれる名店「うどん・総菜 なかくら」での心温まる出会い、そして珍しすぎる「とんこつ味の五島うどん」の食レポまで、山口旅の魅力をたっぷりとご紹介します。

山口観光の強い味方!「山口セントラルパス」と秋芳洞の絶景

お店のレポートの前に、山口県を旅行する際に絶対に知っておいて損はない、超お得な交通情報と秋芳洞の様子を少しだけご紹介します。

移動費が激減する魔法のアプリチケット

今回の山口旅行では、移動手段として「山口セントラルパス」というデジタルチケットをスマートフォンアプリで購入し、フル活用しました。
これは、指定された区間内の路線バスとJR西日本の在来線が、3,500円で「2日間乗り放題」になるという、バックパッカーや電車旅派にとっては神様のようなチケットです。

1日目の新幹線降車駅からの移動や、2日目の山口駅〜秋芳洞までの往復バス代、さらに周南市までのJRの運賃などを個別に支払っていると、今日1日だけで余裕で3,000円を超えてしまいます。それが2日間乗り放題で3,500円に収まるのですから、山口県内の主要観光地を公共交通機関で巡る予定の方には、強くおすすめします。

神秘の地下空間「秋芳洞」での弾丸観光

秋芳洞バスセンターに到着したのは朝の9時30分。しかし、次に新山口駅方面へ戻るバスの出発時刻が11時ちょうどでした。このバスを逃すと午後のお店の予定に間に合わなくなってしまうため、洞窟のさらに先にある「秋吉台(カルスト台地)」まで足を伸ばすのは泣く泣く諦め、大急ぎで鍾乳洞の中だけを回ることにしました。

秋吉台

一歩洞窟の中へ足を踏み入れると、数万年という途方もない年月をかけて自然が創り出した巨大な鍾乳石の造形美が広がり、ただただ神秘的で感動の連続でした。
「洞窟の中だから、きっと寒くてひんやりしているだろう」と予想して厚着をしていったのですが、今の時期は外の気温との差があまりなく、アップダウンのある洞窟内をけっこうなペースで歩き回るため、薄着でも十分に汗をかくほどでした。身軽に歩くためにも、バス停近くの案内所にあるコインロッカーに、大きな荷物を預けておくことをおすすめします。

バス停から鍾乳洞の入口まで続くレトロな商店街の道中には、お土産屋さんや美味しそうな食べ歩きグルメ(ご当地ソフトクリームやコロッケなど)がたくさん並んでいました。しかし、「今日のお昼は絶対に五島うどんを食べるんだ!」という強い意志のもと、誘惑を横目で振り切りながらバスに乗り込み、新山口駅へと戻りました。

周南市の無人駅「福川駅」から、五島の風が吹くお店へ

新山口駅

新山口駅は、新幹線の停車駅ということもあり、非常に新しくて立派なターミナル駅でした。山口市の中心部にある「山口駅」よりも、県内各地への交通の便が良く、拠点として利用するには新山口駅の方が圧倒的に便利なようです。

福川(ふくがわ)駅

新山口駅からJR山陽本線(岩国行き)のローカル線に揺られること約40分、5駅先の「福川(ふくがわ)駅」に到着しました。私はずっと「ふくかわ」と読んでいたのですが、正しくは濁って「ふくがわ」と読むそうです。

福川駅は、改札を抜けたらすぐに小さなロータリーになっている、のどかな無人駅でした。(※無人駅の場合、山口セントラルパスの降車チェックはどうすればいいのかと焦りましたが、駅員さんがいない場合はそのままスルーして通り抜けて大丈夫だそうです)

青いのれんとバラモン凧が目印

福川駅から歩いてすぐの場所に、今日のお目当てのお店があります。

右手に山口銀行の大きな看板

土曜日のお昼前ということもあってか、駅周辺の人通りはほとんどありません。静かな町並みの中、横断歩道を渡って100メートルほど歩くと、右手に山口銀行の大きな看板が見え、その向かい側の左手に「うどん」と白抜きで書かれた鮮やかな青いのれんが風に揺れていました。

地元密着型の名店「うどん・総菜 なかくら」

ここが、遠く離れた山口県の周南市で五島うどんが食べられる地元密着型の名店「うどん・総菜 なかくら」さんです。

のれんをくぐる瞬間、少し胸がドキドキしました。店内に入ると、まだ新しくて清潔感のある空間が広がり、女性の店員さんが明るく出迎えてくれました。

少し色褪せた古い「五島市岐宿町の航空写真」

ふとお店の正面の壁に目をやると、そこには見慣れた五島列島の伝統工芸品である「バラモン凧」と、少し色褪せた古い「五島市岐宿町の航空写真」が誇らしげに飾られていました。これを見た瞬間、「ああ、間違いなくここは岐宿町出身の方のお店だ。五島の魂が息づいている」と確信し、不思議な安心感に包まれました。

衝撃の出会い!五島弁が飛び交う温かい店内

L字型のカウンター席

店内は、厨房を囲むようにL字型のカウンター席が8席ほど並ぶ、こぢんまりとした作りです。
お冷を受け取り、お昼時で少し忙しそうにされている店員さんの様子を見ながら、話しかけるタイミングを見計らっていました。そして少し手が空いた瞬間、思い切って声をかけました。

「あの……私、旅行で長崎の五島から来たんですよ」

そう伝えた瞬間、接客してくれた店員さんの目が点になり、「ええっ!?」と驚きの声を上げました。そして振り返り、
「ちょっとお母さん!このお客さん、わざわざ五島から来てくれたんだってよ〜!」
と、奥の厨房に向かって大きな声で呼びかけてくれました。

その声を聞いて、奥の厨房から慌てて出てきた割烹着姿の小柄な女性。この方こそが、五島市岐宿町のご出身であり、お店の店主である中村さんでした。
突然の同郷の訪問者に、中村さんも最初は目を丸くして驚いていましたが、すぐに満面の笑顔になり、

「あらー!ようきなったね〜(よく来たね〜)、ゆっくりしてってね〜!」

と、懐かしい五島弁のイントネーションで温かく迎え入れてくれました。遠く離れた山口県のカウンター越しで、当たり前のように五島の言葉で会話ができる。これだけでも、急遽予定を変更してこのお店に来た価値があったと胸が熱くなりました。

唯一無二の絶品!「五島うどんの[とんこつ味]」を実食

カウンターの上には、美味しそうな「稲荷寿司」「おにぎり」、そして色鮮やかな「角寿司(押し寿司)」が大皿に盛られて並んでいました。他のお客さんの注文を聞いていると、「肉うどんと稲荷を一つ」といった組み合わせで頼む常連さんが多いようです。

名物の肉うどん

私も名物の肉うどんを頼もうかと思ったのですが、メニュー表の中にどうしても気になる一品を見つけてしまいました。
それは「とんこつうどん」です。

邉安なのに美味しいメニュー

長崎県の五島列島で食べる五島うどんといえば、あご(トビウオ)から取った透き通った黄金色のダシに、椿油を練り込んだ細麺を絡めて食べる「地獄炊き」などが王道です。とんこつスープと五島うどんを組み合わせたメニューは、本場の五島でもなかなかお目にかかることはありません。「これはここでしか食べられない、幻のメニューに違いない!」と確信し、とんこつうどんを注文しました。

ラーメンとうどんの奇跡のフュージョン

五島うどんのとんこつ

しばらくして、熱々の湯気を立てながら「とんこつうどん」が目の前に置かれました。
見た目は、白濁した濃厚なスープに、ゆで卵、青ねぎ、かまぼこ、そして肉うどんに使われているであろう甘辛く煮込まれた牛肉がトッピングされており、香りは完全に「本格的なとんこつラーメン」そのものです。

まずはスープを一口。豚骨の旨味がしっかりと効いた、博多ラーメンに近い本格的な味わいです。飲んだ後のシメにも絶対に合う、ガツンとくる美味しさです。
そして、そのスープの中から艶やかな細麺を引っ張り出し、ズルズルッと啜ります。

「おっ…!」

とんこつの風味が口いっぱいに広がるのですが、噛みしめるごとに、ツルツルッとしたなめらかな喉越し

口に入れた瞬間はとんこつの風味が口いっぱいに広がるのですが、噛みしめるごとに、ツルツルッとしたなめらかな喉越しと、強いコシを持つ「五島うどん」本来の存在感が後からじわじわと顔を出してきます。これは非常に不思議で、新しい感覚です。

「時間が経っても麺が伸びにくい」

とんこつの強いスープが麺に完全に染み込んでしまうのではなく、スープと麺がお互いの良さを主張し合いながら、口の中で見事に溶け合っていくのです。
さらに、ラーメンの麺とは違い、熱々のスープに入っていても「時間が経っても麺が伸びにくい」という五島うどん最大の強みが、このとんこつスープにおいて見事に活かされています。

故郷の伝統食材を、山口の土地柄やラーメン文化と見事に融合させた中村さんのアイデアと料理の腕に、ただただ脱帽するしかありませんでした。

地元に愛される理由。手作りお惣菜と優しさの数々

テイクアウト専用の「お惣菜コーナー」

「なかくら」さんの魅力は、店内で食べる絶品のうどんだけではありません。お店の横にはテイクアウト専用の「お惣菜コーナー」が併設されています。

ガラス張りのショーケースには、揚げたての唐揚げや天ぷら、家庭的な味付けの煮物、色鮮やかなおひたしなど、毎日食べても飽きない手作りのおかずが何種類も並んでいます。食事をしている間にも、地元の常連さんが次々と外の窓口越しに夕飯のおかずを買いに来ていました。

ふとショーケースの下を見ると、小さなお子さんでも自分で商品を見て注文できるように、木製の「踏み台」が置かれていました。こういった細やかな気遣いに、中村さんの深い優しさが滲み出ています。

いなり

さらに、このテイクアウト用の揚げたての唐揚げや天ぷらを、店内で注文したうどんと一緒に食べることもできるそうです。リーズナブルな価格設定と、お腹も心も満たされる美味しさ。これほどまでに地元の人々に愛され、繁盛している理由がよく分かりました。

50年越しの望郷の念と、終わらないお茶タイム

お昼のピークを過ぎ、他のお客さんが途切れたタイミングで、中村さんから色々なお話を伺うことができました。

中村さんがこの「なかくら」をオープンしたのは、2017年、約8年前のことだそうです。五島列島の岐宿町から山口県へ嫁いでこられて、もう50年以上もの月日が経ちます。
遠く離れた離島であるため、なかなか気軽に帰省することはできず、一番最近五島へ帰ったのも2年前のお葬式の時だったとのこと。それでも、故郷のバラモン凧を店内に飾り、毎日元気に五島うどんを茹で続けている姿に、深い郷土愛を感じました。

中村さんと、2人の明るい店員さんの楽しそうな笑い声が、こぢんまりとした店内に響き渡ります。
なんと、食事代の会計時に角寿司の代金をサービスしてくださった上に、温かいココアまで淹れていただきました。あまりの温かいおもてなしに恐縮し、御礼として、昨日小野田市の芋フェスで購入したお芋のお菓子(蜜の月のカヌレ)を差し入れとしてお渡ししました。

芋フェスで購入したお芋のお菓子(蜜の月のカヌレ)

五島のお土産ではありませんでしたが、「あらー!嬉しいねえ!」と大変喜んでくださり、そのままお店の皆さんも一休みモードに突入し、女子会のような楽しいお茶タイムが始まりました。

別れ際のサプライズと、下関の夜の「さくら餅」

福川駅は、1時間に1本程度しか電車が停まらない小さな駅です。
電車の時刻までまだ少し余裕があったため、お言葉に甘えてゆっくりと滞在させていただきました。五島のローカルな話題や、山口での暮らしのことなど、いろいろとお話しているうちに、あっという間に電車の時間が近づいてきました。

今日、ほんの1時間前に初めてお会いしたばかりだというのに、中村さんの朗らかで包み込むような人柄のおかげで、まるで「田舎の本当のお母さんに接している」ような感覚になり、お店を出るのが名残惜しくてたまりませんでした。

バラモン凧の前で一緒に記念写真

最後にバラモン凧の前で一緒に記念写真を撮り、「また絶対に、五島から会いに来ますね!」と中村さんの両手を強く握って、駅へと向かいました。

お店を出て振り返ろうとしたその瞬間、
「これ、電車の中で食べんね(食べてね)!」
と、中村さんがお惣菜コーナーのショーケースから「手作りのさくら餅」をひょいと取り出し、袋に入れて私の手に握らせてくれたのです。最後の最後まで、その底抜けのサービス精神と優しさに胸がいっぱいになりました。

旅の締めくくりに最高の思い出を

山口旅行2泊目の宿泊地である下関のホテルの部屋に到着し、夜にお茶を淹れて、いただいたさくら餅をいただきました。
可愛らしいひとくちサイズのさくら餅は、上品なこし餡の甘さと桜の葉の香りが絶妙で、大袈裟ではなく「今まで生きてきた中で一番美味しいさくら餅」に感じられました。

長崎県の五島列島から出発し、芋フェスを楽しみ、秋芳洞の神秘に触れた山口旅行。
素晴らしい観光名所はたくさんありましたが、「あの小さな福川駅で電車を降りて、中村さんのお店に行って本当に良かった」と心から思える、最高の旅の締めくくりとなりました。
まさか遠く離れた山口県で、五島うどんと故郷の温かさに触れて涙が出そうになるとは、旅の神様の粋な計らいですね(笑)。

まとめ:山口県周南市を訪れたら、ぜひ「なかくら」へ!

山口県周南市を訪れたら、ぜひ「なかくら」へ!

山口県にお住まいで五島列島出身の方、そしてうどんやお惣菜が大好きな皆様。
周南市福川の近くを訪れた際は、ぜひ「うどん・総菜 なかくら」さんへ立ち寄ってみてください。懐かしい故郷の味と、驚きの「とんこつ五島うどん」、そして何より中村さんの極上の笑顔があなたを待っています。

うどんの提供は日曜日以外の「11時から15時まで」となっており、お昼のピークを少し過ぎても温かい食事ができるのが旅行者にとっても嬉しいポイントです。手作りの愛情がたっぷり詰まったお惣菜のテイクアウトは18時まで可能です。

旅の途中で偶然出会った小さな名店は、心と胃袋を最高に満たしてくれる特別な場所でした。次の旅行の目的地に、ぜひ加えてみてくださいね!

うどん・総菜 なかくら
住所:山口県周南市福川3-11-18(JR福川駅から徒歩数分)
TEL:0834-63-6021
営業時間:[うどん] 11:00~15:00 / [総菜] 9:00~18:00
定休日:日曜日