11月になると福江島では急に日が落ちるのが早くなり、18時には辺りが暗くなります。そんな季節にぴったりのおでんを求めて、富江へ足を運びました。ですが、このお店の魅力はおでんだけではありませんでした。
某(なにがし)
近年、富江の商店街ではスーパーが閉店してしまい、夜は人通りがほとんどありません。そのスーパーの向かい側には駐車場があり、その奥にひっそりと明かりが灯る小さなお店があります。「某(なにがし)」という名前のお店です。駐車場は以前のスーパーから引き継いでおり、車が8台ほど停められます。お店は全面ガラス張りで、以前魚屋だった名残を感じます。中の様子がよく見えるので入りやすい雰囲気です。カウンター9席のみのこぢんまりとした空間ですが、控えめな照明が独特の味わいを生み出しています。一人でも気軽に立ち寄れるお店といった印象です。
おでんだけではない魅力的なメニュー
お通しが飲み物と一緒に提供されます。価格は1皿300円と手頃です。当初はおでんを目当てに訪れましたが、焼き鳥も気になり、砂ずり、軟骨、ネギマを注文しました。1本200円で、量もちょうどよく食べやすいサイズです。炭火でじっくり焼かれた焼き鳥は、お肉が柔らかく絶品でした。砂ずりは切れ目が入っており、塩加減も抜群です。
焼き鳥やおでんだけでなく、他店ではあまり見かけないおしゃれな酒の肴も揃っています。その中でも「酒盗チーズ」という一品を初めて食べました。クリームチーズと塩辛が驚くほどよく合い、お酒が欲しくなります(この日は運転のため飲めませんでしたが)。
ピザも絶品!一人でもシェアでも楽しめる
まだお腹に余裕があったので、ピザを注文しました。「しらす」と「塩辛」のハーフ&ハーフを選びましたが、1人で食べきれるサイズでちょうど良かったです。焼きたてのピザはチーズのまろやかさと具材の塩気が絶妙にマッチしており、シェアでも一人でも楽しめる一品でした。
店主の想い
店主の深山さんは山口県出身で、東京で料理の経験を積んだ後に五島へ移住されました。ちょうど空いていたこの物件を地元の方に紹介され、お店を開くことを決意されたそうです。「富江だからこそ移住し、お店を始めた」と語る深山さん。その言葉には、地元を大切にする思いが込められています。
行く価値のあるお店
料理だけでなく、家庭的で居心地の良い雰囲気もこのお店の魅力です。箸置きには、陶芸を趣味にするお客さんの手作り作品が使われています。テイクアウトを行わない理由については「料理を一番美味しい状態で食べてほしい」とのこと。納得の姿勢に、ますます応援したくなりました。地元住民だけでなく観光客もふらっと立ち寄れるよう、富江周辺がさらに発展することを願わずにはいられません。一見静かな富江の街に佇む「某」というお店。温かい料理と店主の優しさに触れられる、特別なひとときをぜひ体験してみてください。
某
長崎県五島市富江町富江210
TEL:080-3248-1229
営業時間:17:00~23:00
定休日:火曜日
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