五島・富江町の小さな図書館とカフェ「さんごさん」へ行ってみた

10月に入り、島の気候は穏やかさを増しています。澄んだ秋の空気が心地よく、山々も少しずつ秋の色に染まり始めています。散策が楽しいこの季節に、読書の秋にぴったりの場所を紹介します。今回は、福江島・富江町にある私設図書館「さんごさん」を訪れました。ここは、コーヒーを片手にゆったりとした時間を過ごせる貴重な場所です。

さんごさん

「さんごさん」では、本の貸し出しは行っていません。また、新刊を購入するわけでもありません。ここでは、知らない誰かが寄贈した本を自由に読むことができる、コンセプチュアルな空間です。「本棚はその人の個性が表れる」とよく言われますが、さんごさんの本棚にはどんな本が並んでいるのでしょうか。

「さんごさん」までのアクセス

富江町の商店街駐車場に車を停め、地図を頼りに3分ほど歩くと、赤い横長の建物が見えてきます。扉を開けると、館内は天井が高く、とても開放的な雰囲気です。大きな梁をあらわにしたデザインやシーリングファンが、モダンで心地よい空間を演出しています。壁沿いには、梯子のような木製の枠に、誰かが選んだ本がぎっしりと並べられています。

本を選んだ人との不思議なつながり

各本には、選んだ人の名前と選定理由が記された栞(しおり)が挟まれています。辞書や聖書、専門書、洋書、児童書など、さまざまなジャンルの本が揃っています。ミヒャエル・エンデの『モモ』は、なんと3冊もありました。本を眺めていると、今の自分に必要な言葉や心に響く言葉が不思議と飛び込んできます。

気になる本を手に取ると、その本を選んだ人の思いが伝わり、まるでその人と対話しているような感覚を覚えます。本を読み終える頃には、選んだ人を身近に感じるかもしれません。

読書のお供に楽しめるドリンク

「さんごさん」では、読書のお供にドリンクも楽しめます。浅煎りのブラックコーヒーやカフェオレ、島特産の「椿茶」、ハーブが香るレモングラスティー、そして「いくりソーダ」というすももの炭酸ジュースなど、豊富なメニューが揃っています。お気に入りの本を手に、お好みのドリンクでリラックスした時間を過ごせます。

ゆったりくつろげる店内空間

店内には、一階のテーブル席やお座敷、さらに二階の静かな小部屋など、さまざまなスペースが用意されています。畳の上で本を広げるのもよし、二階の静かな空間で一人の時間に浸るのもよし、自分のペースで過ごせるのが魅力です。

『nice things.』で感じる福江島の空気

店内には、季刊誌『nice things.』も置かれています。この雑誌は、「さんごさん」の館長である谷間さんが編集長を務めており、生き方や暮らしをテーマに、福江島から全国に発信されています。この雑誌を手に取ると、「さんごさん」が持つ独特の空気感をより深く感じ取ることができるでしょう。

新しい読書体験が待っている「さんごさん」

富江町にある「さんごさん」は、図書館や本屋とは異なる、新しい体験ができる場所でした。本好きな方も、そうでない方も、訪れたらきっと特別な出会いがあるでしょう。

みなさんも、コーヒーを片手に、読書の秋を楽しんでみてはいかがでしょうか。

さんごさん
長崎県五島市富江町富江280-4
TEL:0959-86-0750
営業時間、定休日は公式instagramで確認をお願いします。
公式instagramはこちら